⭕️日本版トランプ=ナショナリストが出現すれば日本再生は可能になるのか?

2023年7月8日

2022年の参議院選挙で急速に支持を伸ばした参政党は、その選挙期間中に凶弾に倒れた安倍晋三元首相にナショナリストとしての立場から共感を抱いているようです。
しかし、参政党も主張するように長期にわたる安倍政権でも結局日本は取り戻せなかったことは間違いないでしょう・・・その衣鉢を継ぐのは真の愛国者のみともいえそうですが、参政党が本当にそのような立場に育っていくのかどうか、もうしばらく見守っていきたいと思っています。

確かに、今後は参政党は、彼らが定義する敵対勢力=グローバリスト側から本格的なターゲットとして、ハニートラップや過去のスキャンダルの暴露、脅迫、マスコミからの十字砲火など考えられるありとあらゆる攻撃に晒されることになりそうですが、そのような攻撃をうけてこそホンモノの抵抗勢力であり、日本におけるトランプ陣営の役割も果たせる・・・というものかもしれません。

そういう意味で、しばらくは国政の場も面白くなりそうですかね・・・

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戦後の保守政権の中でも安倍政権は少なくとも、その安定した長期政権ぶりだけでも評価できるところは多々ありますし、ビル・エモットらがかつて繰り返していたような異次元の金融緩和の効果の実験を断行して、バブル崩壊以来のデフレ的な旧弊を一掃しようとした果断な姿勢は、一応それなりに決断と実行の政治を実現しており、サイレントマジョリティーの強固な支持を確保し続けて国政レベルで昨今まれにみる連戦連勝を誇ったのも、首肯できるかもしれません・・・
さらに働き方改革や高等教育無償化への道筋を明示するなど、戦後政治の総決算第二段階的な位置づけも出来るという意味で手慣れた政権運営だったと想定されます。
あとは、戦前と戦後を橋渡しするような日本の独自性や戦略を周辺国の反発や欧米から孤立することなく実現出来れば、日本もドイツやイタリア並みに異様に長かった戦後=第二次世界大戦の敗戦の痛手から完全に立ち直れるのではないか・・・という冗談も言えなくはなかった安倍政権ですが、菅政権の仕事を観れば懐かしくなってくるのも、過言ではないでしょう・・・

トランプ政権誕生の意義

思えば2016年の二つの民主的な選挙結果が世界を一変させるような激動を引き起こし現在までその余震が継続している印象があります。
その二つの選挙というのは、やはり一つがイギリスのEU離脱、二つ目がトランプ政権の成立ということになりましょうか。

その中でも、アメリカ及び世界を震撼させ続けているトランプ大統領の特異な性格の一つとして、大統領選挙の時点から顕著になっていましたが、既存の巨大メディアやマスコミとの世界認識の対立にあり、マスコミを介さないSNSを中心とするインターネットを活用した市民への直接の働きかけにある、とも言えましょうか。
またトランプ大統領の口癖に「フェイクニュース」という用語法がありますが、まさに事実と真実の見分けは困難であり、昔から「本当の真実は大衆から隠されてきた」という印象が、常に市民の側には内在していたことは間違いありません。ともかく、トランプ氏という全くのアウトサイダーがホワイトハウスという権力の中枢に座ることで、爽快感を感じたり痛快な思いをする市民が、アメリカに数多く存在することは紛れもない事実でしょう。

そのあたりの感覚は実際のところ私自身も共有しており、オバマ氏からトランプ氏に政権が移行して、かつてない面白い時代が到来したことを、非常に強く実感しているところです。
ちなみに、トランプ大統領の選挙戦でのアメリカ市民への直接の語り掛けの基調となる部分に多大な影響を与えたとされる前首席戦略官バノン氏に至っては、レーニンを真面目に崇拝するアナキストである、と公言しているわけで、このあたりにもトランプ政権の特殊性が、かなり異様なレベルであることの例証としては十分でしょう。

アメリカで起こったことは、その後何年かすると日本にも似たような形で反映するケースがありますが、今後近い将来に橋下氏や小池都知事の活躍以上に衝撃的で日本の現在及び将来に影響を及ぼすような政治的な事件の到来が、間近に迫りつつあることを予感する今日この頃とも言えましょうか。

日本に国家意思や独自の戦略は必要ないのか?

私個人としては、トランプ大統領の出現に合わせて、日本もいい加減に対米従属の朝貢姿勢を改め、アジアに対しても世界に対しても、戦略的でより主体的な責任感のある立場と行動が要請されてきているのではないか、と痛感しているところです。
オバマ大統領時代までは、対米自立政策を積極的に推進すると田中角栄氏のように徹底的に狙い撃ちされて天寿を全う出来ず、対米従属の朝貢外交姿勢を徹底して貫けば岸信介氏のように現役時代は首相をつとめ引退後も政界の黒幕として長らく安泰である、というのが戦後の日本の政治家にとっての宿命のように位置づけられてきました。

しかるに、どうやらトランプ大統領は、日本の政治家が対米自立路線を突っ走っても、それほど大きな問題にしないような、これまでのアメリカの対日戦略の枠組みを超える柔軟で画期的な指導者である、というイメージがあります。
このことは、戦後長らく対米従属を基本とする朝貢外交を国家戦略の根幹とせざるを得なかった日本にとって、千載一遇の好機が巡ってきた、とも考えられます。

まさにこの好機にいたずらに、これまでの対米従属、朝貢外交姿勢一辺倒の政治方針から一歩も脱却出来ないのは、非常にもったいない行き方ではないでしょうか。

日本独自の国家戦略に基づくグランドデザイン確立は?

かつて戦前の日本は、大東亜共栄圏構想なる国家戦略を持ち、曲がりなりにも極東における新秩序構築を目指していたことがありましたが、戦後は一転して戦略なき国家に墜して長らく過ごしてきました。

一方、第二次世界大戦敗戦直後に日本とほぼ同様な境遇から出発したドイツは、史上初の欧州葬で追悼されることになったドイツ統一の父であるヘルムート・コール元首相やその愛弟子とも言われるアンゲラ・メルケル首相の指導下で、いつの間にか、EUの実質的な盟主となり、アドルフ・ヒトラーが構想していた欧州制覇を、軍事力よりも実は有効で、長期的な展望が可能な政治力・経済力を駆使して今まさに実現しつつあるところです。さらにもう一歩進めて中東からの難民殺到という現実を観れば、イスラム圏の一部もドイツ第四帝国に組み込みつつある現状かも知れません。

翻って日本の極東における現状は、日中、日韓、日朝のいずれの関係を観ても、正常に進展している感じもなく、日本が極東の盟主だとは、誰も考えていない、と言わざるを得ないでしょう。

このあたりの日本の将来展望の不透明さに一石を投じ、新たなる戦略で国家のグランドデザインを描き、真の意味で未来に期待とワクワク感の持てるような構想を確立していく必要性を痛感しているところです。

政権交代可能な政治状況成立の可能性は?

ちなみに、2017年7月2日の都議選で国政レベルの選挙戦では第二次安倍政権下では初めて大敗した安倍首相は、2017年10月10日に衆議院選挙を行うべく解散を断行しました。当初は、安倍首相が前倒し総選挙で大敗したイギリスのメイ首相の二の舞を舞うであろうと観察していたのですが、野党側のドタバタ劇は安倍首相側の混乱を遥かに上回り、大方の予想を超える選挙戦の様相を呈しました。

すなわち、2017年9月1日に蓮舫代表の勇退に伴う党首選挙を行った民進党は、枝野幸雄を破った前原誠司を新代表に選んだものの、その前原が新代表になったのも束の間の出来事で、突然小池都知事が急遽総選挙向けに立ち上げた希望の党に合流することを決断したのです。
その後、希望の党が民進党の議員全てを受け入れるわけではないことが判明し、リベラル的な世論の受け皿が消滅することを憂いた枝野幸雄を中心とした民進党の一部議員は2017年10月2日に立憲民主党を創設し、民進党は完全な分裂に追い込まれました。
この一連の動きは、安倍政権にとって素直に喜べる追い風とは言えないでしょうが、新党首を迎えて清新な気風で人心一新し、安倍政権に対峙するはずだった民進党がいきなり消滅するという、驚くべき展開でもあり以前から指摘されていた前原誠司の頼りなさが、安倍長期政権を打倒出来るかどうかの瀬戸際でまたもや遺憾なく発揮された、とでもいうべき状況となりました。
それにしても、2017年10月22日の総選挙にもし希望の党が勝利しても、党首である小池都知事は立候補していないため首相にはなれないので、安倍政権の本格的な受け皿にはなりえない形勢であり、希望の党も過半数が取れないであろうことを前提とし、安倍政権あるいは自民党の過半数維持の当面の継続を予想した選挙戦を展開している状況で、政権選択を公言しながら非常に中途半端な選挙となってしまいました。

自民党が常勝な要因は何か?

もし希望の党が過半数を制したら、小池都知事はミャンマーのアウンサンスーチー女史のように、首相にはならないものの国家顧問的な立場で、国政を指導するということになりかねませんが、西側先進国でそのようなドタバタ劇を演じている国をあまり見かけないだけに、当面の政権運営だけでなく、日本の立場や国際的な地位に影響を与えかねないと心配していました。

結局、小池都知事の思惑は脆くも外れ、民進党の当選目当ての野合政治家たちを吸収した希望の党は惨敗し、私利私欲にまみれた自分ファーストの醜態有り様を見せつけられた市民の側から完全にノーサインを突き付けられる結果になりました。
安倍首相を早期の解散に走らせたのは、そもそも小池都知事が都議選で圧勝し、その余勢を駆って国政に進出する準備を整える前に、何とか民意?を反映した多数を確保して、政権の延命を図ろうとした愚挙だったわけですが、今回は小池都知事がいろいろな政治的失策を重ねたおかげで、自民党は嬉しい誤算とでもいうべき大勝を手にしました。
「神は細部に宿る」とも言いますが、日本の政治状況がこれほど繊細なバランスの上に築かれているとは、不覚にも思っていなかったので、今回の政界のドタバタ劇や小池都知事の失墜ぶりは、まさに他山の石として素晴らしい教訓を提供してくれたもの、と感謝しています。
小池都知事の敗因は、単に旧民進党のリベラルな議員への「排除いたします」「選別する」「全員受け入れる気はさらさらない」と言った一連の発言がマスコミで過剰に取り上げられただけではなく、やはり「自らがリスクを取り衆議院に鞍替えし、首班指名を安倍首相を競う姿勢を見せず、逃げ腰だったこと」「実際問題としてリセットを強調しながら、安保法制や憲法問題等をはじめとして安倍政権との政策の違いがはっきりしなかったこと」「舛添前都知事が引っかかったような狭量でセコイと評されかねない、政策協定書の原案が独り歩きしたこと」などが挙げられるでしょう。

さらに本来希望の党が切り崩す対象は、政策や思想が真逆である民進党ではなく、自民党のハズであり、結局安倍首相が押さえ込んでいる自民党でも右寄りの線に限りなく近い小池都知事が整合性のある政界再編を目指すのは、現時点ではかなり厳しかったというべきでしょうか。
民進党が離党者続出の中で崩壊しかけており、前原誠司と言う党首が頼りなくて、騙しやすいから手を突っ込んでヒトもカネも乗っ取る、というのでは流石に21世紀を迎えて、かつての道徳意識を喪失しつつある日本社会も受け入れることは出来なかった、というのが小池都知事の政権戦略の最大の失敗要因となりましょうか。

アメリカ、イギリス、ドイツ並みの政権交代の必要性

どうせなら、社会党崩壊で雲散霧消し、まとまった政治勢力としての受け皿を欠いている日本の健全なリベラルな民心の代弁者として、立憲民主党がかつての社会党並みにパワーを取り戻し、自民党のリベラル勢力も吸収して、200議席を超えるような政治状況になれば、日本の二大政党制もかなり安定するような気もする今日この頃です。

どちらかというと、この日本におけるリベラルな方向性の政治勢力は、これまでも自民党やその延長線上にある保守政治家の対米従属姿勢とは一線を画する政治姿勢を示しており、日本ファーストな健全な愛国思想を発揮してきているような印象もあるので、社会党の事実上の消滅以来自民党を中心とする保守勢力が壟断し、対米従属の朝貢姿勢で政治的な暴走を繰り返す日本の政治状況を日本の市民に取り戻す第一歩になるのではないか、と期待しているというところでしょうか。

ちなみに、これまではいわゆる保守の論客として、左翼的立場の政治勢力と論戦することが多かったあの小林よしのり氏が、多くの政策課題における方針を確認した上で、方向性の近さから、今回はハッキリと立憲民主党支持を打ち出したのは印象的でした。
不倫問題を抱えながらも、逆境の中で当選を果たした山尾しおりも含めて、いわゆる健全なリベラルと真性の保守との政治路線の近さが、日本でもようやく小林よしのりをはじめとする影響力のある論客の間で確認されつつある、ということでしょうか。

ともかく、トランプ政権に対抗するアメリカのリベラルのパワーは、多少ねじれ感もありますが、日本では有り得ないものであり、明日の日本の政治のあるべき姿の一つになりそうな気もします。

これなどは、「帰ってきたヒトラー」で蘇ったアドルフ・ヒトラーが現代ドイツの保守政治家の政治姿勢に共感せず、却ってドイツの国土を守り真の市民ファーストを貫く「緑の党」に連帯する心境を抱くのに共通するところもあるのかもしれませんが・・・

国民意識の変容と国家戦略の確立は一体か?

本来、当面選挙で問うべきは、対米従属朝貢路線の堅持か、治外法権的な日米地位協定見直しをはじめとする対米従属的な立場の見直しによる健全な国家意識の再生か、というあたりにあるような気もするところです。

2017月10月の総選挙では、自公政権側与党は事前の予想通り得票を伸ばして過半数を超え、総議席数の2/3を超える勢いで、維新や希望も含めると改憲勢力は全議席の70%程度を占有する勢いとなってきました。とはいえ、憲法改正反対を党是として結成された立憲民主党も躍進したため、安倍首相も性急で強引な改憲に向けた動きは当面自粛しつつ、慎重に世論の動向を見極めながら安保法制を強行したように機を観て一気に攻勢に出てくるのではないでしょうか。

ともかく、学園スキャンダルに端を発し、安倍首相に解散を決断させ、自民党政権の屋台骨を揺るがすかに観られた日本の政局の混乱要素は、結果的に民進党解体、自公政権与党の優位の確立、改憲勢力の絶対多数確保という、正に安倍首相が思い描いた構図を遥かに上回るような果実を日本の保守勢力にもたらしたということになりました。

久々に長期政権を維持する安倍首相の政治的才能は、流石に野党の比ではないことが証明された格好ですが、学園スキャンダルで安倍政権に批判的だった世論の動向は伏流水のように行き場なく、さまよい続けている印象も否めません。

その一部の流れを汲み上げたのが、立憲民主党だったわけですが、まだまだ政権交代を実現するようなパワーを確立するには至りませんでした。そういう意味では、今回の総選挙は安倍政権に批判的な世論の機微を十分に吸い上げることが出来ない結果に終わったわけで、大げさに言えば民主主義の危機ともいえるのかもしれません。

そういう意味で、民主党台頭時にも言われた政権交代可能な健全で強力な自民党に対抗する勢力の確立が、日本の民主主義の健全な発展のためには必要不可欠と認識しています。

さらにもう一歩進めて、新自由主義的な立場や鄧小平が改革開放で唱えた先富論でも、いわゆる経済のトリクルダウンが言われ、「フロントランナーがまず目一杯儲ければ、その影響で社会全体にもその豊かさが滴り落ちるように広まっていく?」と言う話がありますが、同様に「政治や国民意識においてもトリクルダウンと言うのがあるのではないか」、と私自身は考えています(ちなみに、日本における新自由主義の旗手であった竹中平蔵氏は、このところの西側先進諸国の社会情勢も踏まえて、経済面でのトリクルダウンの幻想性を指摘しているようですが)。
すなわち、現状の日本社会においては、2017年11月のトランプ大統領訪日で安倍首相が証明したように、政界トップが対米従属の朝貢的な姿勢に凝り固まっているので、その影響が国民意識全体にトリクルダウンして健全で独自の国家戦略や愛国心が育たず、アメリカと完璧に一心同体のあたかもアメリカの51番目の州のような異様な国家体制になっているが、日本でもトップの意思が変化し対米従属の朝貢的姿勢を止めて日米地位協定のような不平等条約を撤廃する方向で動き出し、独自の国家のグランドデザインを描き、アメリカの戦略から自立して自前の戦略を構築出来るようになれば、日本全体の国民意識においても健全でまともな愛国心や国家への誇りがトリクルダウンしてきて、より実り豊かで、世界に貢献出来る誇り高く自信に満ちた日本を取り戻せるのではないか、と考えているところです。

尚、現在の自民党政権の異様な対米従属、朝貢外交姿勢については以下のリンクにて詳しく分析しています。

トランプ大統領ファーストでアメリカの属国のような日本の現状と自民党政権の限界!

トランプ大統領ファーストでアメリカの属国と化した日本の現状は日米地位協定に明記されている!

トランプ大統領ファーストでアメリカの属国たる日本の現状を分析する!