⭕️民主主義を脅かす市民の無関心と責任野党の不在を止める手段は何か?!

2023年7月6日

2022年の参議院選挙がこのところの閉塞感の漂う国政選挙と若干様相を異にしていたのは、やはり参政党が特にネット空間で一定の存在感を示し、かなりの熱狂的な支持を集めたことでしょうか・・・
今のところ2017年10月段階の枝野幸男の立憲民主党までの勢いは無いようですが、今後の展開如何では戦後政治を揺るがす大きな国民運動になる可能性も秘めているような気もしています。

誤解を恐れずに非常に大雑把に参政党出現前の政界の現状を総括すれば、先年まで長期政権を維持した安倍政権時代は、すなわち田中角栄と真っ向から対決して、昭和の黄門様の異名をとった福田赳夫氏以来の伝統を誇る清和会につながる系譜でもあり、それに続く岸田政権はまさに保守本流とされる池田勇人につながる宏池会の系譜を汲む名門中の名門の末裔と言えるんでしょう・・・
ちなみに、清和会=安倍元首相の陣営はいわゆる日本会議?!などの超保守主義的な背景があるにせよ、やはり対米従属の朝貢的な国家体制を堅持する自民党政権のこれまでの行き方と大同小異であることは残念ながら間違いなかったようです。
昨今の政局の特徴はと言えば、大まかな流れは2017年10月解散総選挙での「民進党解体」「小池旋風解消」の余波がまだ続いている印象もあり、当にかつての安倍首相とその取り巻き連中のシナリオ通りの展開で、政権に批判的な一部の世論は立憲民主党などに流れているものの、到底政権与党を揺るがすような大きなうねりを産み出せるはずもなく、このままもう数年何事もなく推移すれば流石に日本の民主主義にも危機的な季節がやってきています・・・
そういう意味でも、本当の意味で何らかの形で政権交代可能な責任政党の確立が急務となってきているではないしょうか・・・

ブログの成立ち

このブログは、アメリカ、中国、西欧、オスマン帝国などの強力な国家とその成り立ちを、特にその帝国性という観点から検討し、歴史的な観点も踏まえて、その統治構造やその本質的な状況を明らかにすることを目指しています。

ブログ開設の当初は、近代的な体裁を保ちながらも実際は、その本質的な部分に帝国性を内在する中国について、清朝極盛期から国民党統治下の中華民国を経て、共産党統治下の現代中国までの歴史的経緯を踏まえた分析に主眼を置きつつ、イスラム教を中心に据えた別世界としてのオスマン帝国や民主主義をベースにしながらも他文化圏に対しては帝国主義を剥き出しにする西欧のいわゆる国民帝国との比較も取り入れた構成になっていました。

トランプ政権誕生の衝撃とブログの拡大

このため、現時点では中国に関する分析と検討が、かなりの部分を占めていますが、2016年のアメリカ大統領選挙でのトランプ氏の勝利という、まさに「世界に対する黒船襲来」とでも形容すべき衝撃的な事件も踏まえて、アメリカや欧州についてもフォローを充実させていきたいと考えています。

手始めに、トランプ大統領を誕生させたアメリカの深層や変化、トランプ大統領によって引き起こされるであろう国際情勢の激動について取り上げつつ、対米従属や対米朝貢外交から逃れられない日本の現状についても分析を加えつつあるところです。

さらに欧州においてEUを牛耳り影響力を強めつつあるドイツの第四帝国ともいうべき現状を、中東から殺到する難民の取り扱いも踏まえて取り上げていきたいと思いますし、さらにプーチンのロシアの帝国性やトルコとEUなど隣接しながら異なる価値観を有する勢力間の複雑な関係性についても言及する必要性を感じています。

トランプ政権誕生の意義

ともかく、2016年のイギリスのEU離脱から始まり、特にその後のトランプ政権の成立により、世界は一変してしまった印象があります。
トランプ政権の特徴の一つは、大統領選挙の時点から顕著になっていましたが、既存の巨大メディアやマスコミとの世界認識の対立にあり、マスコミを介さないSNSを中心とするインターネットを活用した市民への直接の働きかけにある、とも言えましょうか。
またトランプ大統領の口癖に「フェイクニュース」という用語法がありますが、まさに事実と真実の見分けは困難であり、昔から「本当の真実は大衆から隠されてきた」という印象が、常に市民の側には内在していたことは間違いありません。ともかく、トランプ氏という全くのアウトサイダーがホワイトハウスという権力の中枢に座ることで、爽快感を感じたり痛快な思いをする市民が、アメリカに数多く存在することは紛れもない事実でしょう。

そのあたりの感覚は実際のところ私自身も共有しており、オバマ氏からトランプ氏に政権が移行して、かつてない面白い時代が到来したことを、非常に強く実感しているいるところです。
ちなみに、トランプ大統領の選挙戦でのアメリカ市民への直接の語り掛けの基調となる部分に多大な影響を与えたとされるバノン首席戦略官に至っては、レーニンを真面目に崇拝するアナキストである、との論評すらあります。これなどはトランプ政権の特殊性が、かなり異様なレベルであることの例証として十分でしょう。

アメリカで起こったことは、その後何年かすると日本にも似たような形で反映するケースがありますが、今後近い将来に橋下氏や小池都知事の活躍以上に衝撃的で日本の現在及び将来に影響を及ぼすような政治的な事件の到来が、間近に迫りつつあることを予感する今日この頃とも言えましょうか。

日本の保守政治家の朝貢的対米従属傾向

私個人としては、トランプ大統領の出現に合わせて、日本もいい加減に対米従属の朝貢姿勢を改め、アジアに対しても世界に対しても、戦略的でより主体的な責任感のある立場と行動が要請されてきているのではないか、と痛感しているところです。
オバマ大統領時代までは、対米自立政策を積極的に推進すると田中角栄氏のように徹底的に狙い撃ちされて天寿を全う出来ず、対米従属の朝貢外交姿勢を徹底して貫けば岸信介氏のように現役時代は首相をつとめ引退後も政界の黒幕として長らく安泰である、というのが戦後の日本の政治家にとっての宿命のように位置づけられてきました。

しかるに、どうやらトランプ大統領は、日本の政治家が対米自立路線を突っ走っても、それほど大きな問題にしないような、これまでのアメリカの対日戦略の枠組みを超える柔軟で画期的な指導者である、というイメージがあります。
このことは、戦後長らく対米従属を基本とする朝貢外交を国家戦略の根幹とせざるを得なかった日本にとって、千載一遇の好機が巡ってきた、とも考えられます。

まさにこの好機にいたずらに、これまでの対米従属、朝貢外交姿勢一辺倒の政治方針から一歩も脱却出来ないのは、非常にもったいない行き方ではないでしょうか。

日本独自の国家戦略に基づく日本のためのグランドデザイン確立の必要性

かつて戦前の日本は、大東亜共栄圏構想なる国家戦略を持ち、曲がりなりにも極東における新秩序構築を目指していたことがありましたが、戦後は一転して戦略なき国家に墜して長らく過ごしてきました。

一方、第二次世界大戦敗戦直後に日本とほぼ同様な境遇から出発したドイツは、史上初の欧州葬で追悼されることになったドイツ統一の父であるヘルムート・コール元首相やその愛弟子とも言われるアンゲラ・メルケル首相の指導下で、いつの間にか、EUの実質的な盟主となり、アドルフ・ヒトラーが構想していた欧州制覇を、軍事力よりも実は有効で、長期的な展望が可能な政治力・経済力を駆使して今まさに実現しつつあるところです。さらにもう一歩進めて中東からの難民殺到という現実を観れば、イスラム圏の一部もドイツ第四帝国に組み込みつつある現状かも知れません。

翻って日本の極東における現状は、日中、日韓、日朝のいずれの関係を観ても、正常に進展している感じもなく、日本が極東の盟主だとは、誰も考えていない、と言わざるを得ないでしょう。

このあたりの日本の将来展望の不透明さに一石を投じ、新たなる戦略で国家のグランドデザインを描き、真の意味で未来に期待とワクワク感の持てるような構想を確立していく必要性を痛感しているところです。

安倍政権のスキャンダルによる支持率低下と小池都知事と前原代表による民進党解体,希望の党創設を巡る国辱的ドタバタ劇

ちなみに、2017年7月2日の都議選で国政レベルの選挙戦では第二次安倍政権下では初めて大敗した安倍首相は、2017年10月10日に衆議院選挙を行うべく解散を断行しました。当初は、安倍首相が前倒し総選挙で大敗したイギリスのメイ首相の二の舞を舞うであろうと観察していたのですが、野党側のドタバタ劇は安倍首相側の混乱を遥かに上回っており、大方の予想を超える選挙戦の様相を呈するに至っています。

すなわち、2017年9月1日に蓮舫氏の勇退に伴う党首選挙を行った民進党は、枝野氏を破った前原氏を新代表に選んだものの、その前原氏が新代表になったのも束の間の出来事で、突然小池都知事が急遽総選挙向けに立ち上げた希望の党に合流することを決断したのです。
その後、希望の党が民進党の議員全てを受け入れるわけではないことが判明し、リベラル的な世論の受け皿が消滅することを憂いた枝野氏を中心とした民進党の一部議員は2017年10月2日に立憲民主党を創設し、民進党は完全な分裂に追い込まれました。
この一連の動きは、安倍政権にとって素直に喜べる追い風とは言えないでしょうが、新党首を迎えて清新な気風で人心一新し、安倍政権に対峙するはずだった民進党がいきなり消滅するという、驚くべき展開でもあり以前から指摘されていた前原氏の頼りなさが、安倍長期政権を打倒出来るかどうかの瀬戸際でまたもや遺憾なく発揮された、とでもいうべき状況となりました。
それにしても、2017年10月22日の総選挙にもし希望の党が勝利しても、党首である小池都知事は立候補していないため首相にはなれないので、安倍政権の本格的な受け皿にはなりえない形勢であり、希望の党も過半数が取れないであろうことを前提とし、安倍政権あるいは自民党の過半数維持の当面の継続を予想した選挙戦を展開している状況で、政権選択を公言しながら非常に中途半端な選挙となっていた、とも言えましょうか。

もし希望の党が過半数を制したら、小池都知事はミャンマーのアウンサンスーチー女史のように、首相にはならないものの国家顧問的な立場で、国政を指導するということになりかねませんが、西側先進国でそのようなドタバタ劇を演じている国をあまり見かけないだけに、当面の政権運営だけでなく、日本の立場や国際的な地位に影響を与えかねないと心配しているところでした。

結局、小池都知事の思惑は脆くも外れ、民進党の保守政治家を吸収した希望の党は惨敗し、私利私欲にまみれた有り様を見せつけられた市民の側から完全にノーサインを突き付けられる結果になりました。

 

日本型リベラルの再生はありうるのか?

どうせなら、社会党崩壊で雲散霧消し、まとまった政治勢力としての受け皿を欠いている日本の健全なリベラルな民心の代弁者として、何らかの勢力が自民党のリベラル勢力も吸収して、200議席を超えるような政治状況になれば、日本にもまともな真の二大政党制が成立するかもしれない気もする今日この頃です。

どちらかというと、この日本におけるリベラルな方向性の政治勢力は、これまでも自民党やその延長線上にある保守政治家の対米従属姿勢とは一線を画する政治姿勢を示しており、日本ファーストな健全な愛国思想を発揮してきているような印象もあるので、社会党の事実上の消滅以来自民党を中心とする保守勢力が壟断し、対米従属の朝貢姿勢で政治的な暴走を繰り返す日本の政治状況を日本の市民に取り戻す第一歩になるのではないか、と期待しているというところでしょうか。

ちなみに、これまではいわゆる保守の論客として、左翼的立場の政治勢力と論戦することが多かったあの小林よしのり氏は、多くの政策課題における方針を確認した上で、方向性の近さから、今回はハッキリと立憲民主党支持を打ち出していましたが、不倫問題を抱えながらも、逆境の中で当選を果たした山尾しおりも含めて、いわゆる健全なリベラルと真性の保守との政治路線の近さが、日本でもようやく小林よしのりをはじめとする影響力のある論客の間で確認されつつある、ということでしょうか。
とはいえ、立憲民主党の構想する戦略方針だけではなかなか自民党の底力を覆せるのか難しいところでしょうが・・・

ともかく、トランプ政権に対抗するアメリカのリベラルのパワーは、多少ねじれ感もありますが、日本では有り得ないものであり、明日の日本の政治のあるべき姿の一つになりそうな気もします。

これなどは、「帰ってきたヒトラー」で蘇ったアドルフ・ヒトラーが現代ドイツの保守政治家の政治姿勢に共感せず、却ってドイツの国土を守り真の市民ファーストを貫く「緑の党」に連帯する心境を抱くのに共通するところもあるのかもしれませんが・・・

日本の民主主義の危機と急務な自民党に代わりうる政権交代可能な責任政党確立

 

本来、当面選挙で問うべきは、対米従属朝貢路線の堅持か、治外法権的な日米地位協定見直しをはじめとする対米従属的な立場の見直しによる健全な国家意識の再生か、というあたりにあるような気もするところです。

2017月10月の総選挙では、自公政権側与党は事前の予想通り得票を伸ばして過半数を超え、総議席数の2/3を超える勢いで、維新や希望も含めると改憲勢力は全議席の70%程度を占有する勢いとなってきました。とはいえ、憲法改正反対を党是として結成された立憲民主党も躍進したため、安倍首相も性急で強引な改憲に向けた動きは当面自粛しつつ、慎重に世論の動向を見極めながら安保法制を強行したように機を観て一気に攻勢に出てくるのではないでしょうか。

ともかく、学園スキャンダルに端を発し、安倍首相に解散を決断させ、自民党政権の屋台骨を揺るがすかに観られた日本の政局の混乱要素は、結果的に民進党解体、自公政権与党の優位の確立、改憲勢力の絶対多数確保という、正に安倍首相が思い描いた構図を遥かに上回るような果実を日本の保守勢力にもたらしたということになりました。

久々に長期政権を維持する安倍首相の政治的才能は、流石に野党の比ではないことが証明された格好ですが、学園スキャンダルで安倍政権に批判的だった世論の動向は伏流水のように行き場なく、さまよい続けている印象も否めません。

その一部の流れの一時的に汲み上げたのが、立憲民主党だったわけですが、まだまだ政権交代を実現するようなパワーを確立するには至れないようです。そういう意味では、自民党政権に真正面から対峙する批判的な世論の機微を十分に吸い上げることが出来る政党が存在しない状態が続くことは、大げさに言えば民主主義の危機ともいえるのかもしれません。

そういう意味で、民主党台頭時にも言われた政権交代可能な健全で強力な自民党に対抗する勢力の確立が日本の民主主義の健全な発展のためには必要不可欠と認識する今日この頃です。

今後、参政党がそのような存在に成長していけるかどうかに注目していきたいものです。

トランプのアメリカファースト追随で対米従属の自民党は「戦後敗戦処理政権」から脱皮し三島由紀夫精神に立ち返るべきである!