ヒトラー

ナチスのヒトラー総統に熱狂したドイツ国民が世界大戦を二度も引き起こして世界制覇に挑戦した経緯を探る!

1.プロイセン=ドイツ第二帝国の世界制覇への挑戦
1)プロイセンの台頭とドイツ統一
2)プロイセン=ドイツ第二帝国が世界大戦に傾斜した理由
2.ナチスドイツ=第三帝国の世界制覇への挑戦
1)ヒトラーとは何者だったのか?
2)ナチ党内部での権力確立に向けた闘争期

1.プロイセン=ドイツ第二帝国の世界制覇への挑戦

1)プロイセンの台頭とドイツ統一

フリードリヒ大王

ドイツが実質的に世界制覇を目指し始めたのは、いわゆる「ドイツ第二帝国」の指導権をウィルヘルム二世が握ってから、と考えられると思われますが、この「ドイツ第二帝国」の淵源となる軍国主義国家プロイセンの台頭は、「兵隊王」とも渾名されたフリードリヒ・ウィルヘルム1世の1713年の即位に始まると言って良いでしょう。
フリードリヒ・ウィルヘルム1世の先代のフリードリヒ1世は、ルイ14世を模範に贅沢三昧の生活を送りながらも、文芸学芸の振興に熱心で、ベルリンの都市としての発展に寄与し、ライプニッツをプロイセン科学アカデミーの院長に据えるなど、国家の体裁をある程度整備することには成功していました。このような父王を反面教師としたかのようなフリードリヒ・ウィルヘルム1世は、華美な生活を廃し、徹底的な質素倹約を追求して、余剰資金を軍事費に転用することでプロイセン軍の大幅な拡張に全力を注ぎつつ、技術力や経済力を備えながらもフランスやドイツ西部のカトリック地域で迫害されたユグノーや新教徒の移民を積極的に受け入れることで、国力の充実につとめました。
フリードリヒ・ウィルヘルム1世

さらに、「大王」とも称される後継者のフリードリヒ二世は、典型的な啓蒙専制君主の一人として、1740年の即位早々に「宗教的な寛容」「拷問の禁止」「科学アカデミーの重視」「新聞の創刊」「王立銀行の創業」といった時代を先取りする改革を断行し、軍事力の強化にも熱心に取り組みました。その帰結としての国力のさらなる充実により、オーストリア継承戦争、七年戦争を苦戦しながらも戦い抜くことで勝利をもぎ取り、ポーランドから当初から狙っていた天然資源の豊富なシュレジェン地方の領有権を奪い取りました。その後もポーランド分割でポーランド西部を掠め取ることで、国土や人口の倍増を実現して、軍隊を22万人にまで増強して、プロイセン王国を欧州の大国の地位にまで高めることに成功しました。

その後、ナポレオンの台頭と対フランス戦の敗戦により締結されたティルジットの和約により、プロイセンは国土や人口が半減させられるなど圧迫されますが、この衝撃をうけてフランスに追いつき追いつくべく軍制改革や農奴解放、行政改革などが断行されました。
ナポレオン戦争後に発足したメッテルニヒ体制においては、欧州各国に横並びするような復古政策や反動政策が行われましたが、1860年にウィルヘルム1世が即位し、ビスマルクが宰相に就任して鉄血政策を推進し始めたことで、プロイセン王国の軍事力強化と大国化が、ようやくフリードリヒ大王時代の延長線上での軌道に乗りはじめました。
ビスマルク

フリードリヒ大王以来久々に登場した強力な指導者であるビスマルクの政権下で、プロイセン王国は1866年には普墺戦争に勝利してオーストリアを排除したプロイセン主導のドイツ統一路線を確立し、1871年の普仏戦争の勝利によりナポレオン三世を失脚させ、名実ともにプロイセン王国によるドイツ統一が完成し、ウィルヘルム1世はヴェルサイユ宮殿で統一ドイツの皇帝に即位しました。
この時成立したプロイセン王国主導のドイツ第二帝国は、その後ビスマルクの失脚を経て、ウィルヘルム2世に受け継がれ、イギリスの覇権に挑戦する冒険的ないわゆる「世界政策」を遂行していくことになります。

2)プロイセン=ドイツ第二帝国が世界大戦に傾斜した理由

ウィルヘルム二世

プロイセン王国主導で統一された世界の覇権を目指すドイツ第二帝国とハプスブルク王家のオーストリア・ハンガリー帝国を一方の極として、世界の覇権を賭けた第一次世界大戦が勃発するわけですが、ここでドイツ第二帝国が世界戦争に傾斜していった背景を整理しておきたいと思います。

一つには、充実しつつある国力を背景にイギリスの覇権に挑戦しようとするウィルヘルム2世の「世界帝国により遂行される世界政策」とも称される冒険的な政策が、史上かつてない世界戦争を招き寄せた、ことは間違いないでしょう。
ウィルヘルム二世の前にドイツ帝国を実質的に指導していたビスマルクは、確かにドイツ統一の過程で数次にわたる戦争を遂行しましたが、いずれの戦争においても「戦線のいたずらな拡大を避け、迅速で効果的な勝利を最優先」にしており、さらに「戦場における勝利以上に外交的な勝利を重視」しており、「国際的な孤立を慎重に避けつつ、戦争が必要不可欠で勝利が確実な状況」でのみ戦争に持ち込むことを基本戦略に据えていた、と認識しています。
しかるに、ウィルヘルム二世は残念ながらビスマルクが重視していた「強者の自制」を持ち合わせず、「軽佻浮薄とでも形容出来る軽い姿勢」で「世界政策」や「世界帝国の実現」といった観念的な政策遂行を行い、これらが結果的に「フランス・ロシアに対する軍事的な東西二正面作戦」や「イギリス、アメリカ、日本も巻き込んだ国際的なドイツ包囲網」の形勢を呼び込んでしまった、と言えるでしょう。
本来政治家にとって最も重要な資質とは、ビスマルクがナポレオン1世を反面教師として学んだ教訓である、「最大成功時にどこまで賢明に自制の精神を発揮出来るかどうか」にある、ということだ思われます。

ナポレオン

さらにウィルヘルム2世の冒険主義を補強するようなフランス・ロシアに対する東西二正面作戦の遂行を許容する、「シュリーフェン・プラン」の存在もドイツの世界戦争への傾斜を助長したとも考えられるでしょう。すなわち、ロシアの動員力を軽視し、フランス方面の西部戦線で完全に勝利した後、東部戦線に迅速に立ち向かえばドイツは東西二正面作戦を遂行可能である、という甘い見通しに満ちた机上の空論の有効性が大真面目に取り上げられ、実際の戦争遂行でも用いられることになりました。

結局ウィルヘルム二世の甘い見通しと自制を欠いた世界政策の帰結としての第一次世界大戦は、ドイツ第二帝国の敗戦という世界制覇とは真逆の結果を招来することになりました。

2.ナチスドイツ=第三帝国の世界制覇への挑戦

1)ヒトラーとは何者だったのか?

ヒトラー

第一次世界大戦に敗北したドイツは、戦後の混乱期や世界恐慌の荒波をかぶりながらも、1939年には再度世界戦争を開始するところまで国力を回復することになります。これは政治経済史上の奇跡的な事象の一つとも言えそうですが、まずはその奇跡的な復興を指導したアドルフ・ヒトラーについて検討してみたいと思います。

ヒトラーは、第一次世界大戦に志願兵として、母国オーストリアではなくドイツ第二帝国の一員の立場で従軍しています。
ヒトラーの第一次世界大戦参戦に至るまでの経歴で特筆すべきは、ある程度「芸術的な才能を有していたこと」と、「公務員だった父親の遺産や恩給などを活用してボヘミアン的な生活が可能な程度の資産」を有しており、「比較的自由で気ままな生活を送っていた」ことでしょうか。
確かにヒトラーは、ウィーンの美術アカデミーを受験して失敗していますが、自作の絵葉書や風景画に関しては、それなりの絵画の力量を示しており生活費の足しになる程度の売れ行きがありました。これらの「絵画の販売による収入」と「遺産や恩給」などを足し合わせれば贅沢しなければ、それなりに遊んで暮らせる状態ではあったようです。この状況は、やはり当時の社会経済情勢からすれば、比較的恵まれた境遇だった、と言えるかもしれません。
ヒトラーの絵

このような恵まれた境遇の中で、ヒトラー青年はリヒャルト・ワーグナーの楽劇に心酔してコンサートに通ったり、図書館を利用して様々な知識を得ていった、ということです。後年の反ユダヤ主義思想は、この時代に形成されたともいわれていますが、この時期にはヒトラーは自作の絵画を買い取ってくれるユダヤ人の画商らとも懇意にしており、何らかの主義主張に凝り固まっていたわけではなく、比較的柔軟に大都会生活を満喫していたようにも感じられます。
鉄十字勲章

第一次世界大戦中は、各部隊との連絡を担当する伝令兵として活躍し、二度にわたり鉄十字勲章を受勲しています。軍での最終的な階級は伍長どまりでしたが、鉄十字勲章を二度も受勲するというのは、「危険で困難な任務を勇敢に遂行した」ということを軍組織から評価されていたことの証左にはなるでしょう。
その後、大戦末期には毒ガス攻撃で失明して後方で治療することになり、この治療の途中でドイツの敗戦を迎えましたが、ヒトラーはドイツ降伏の一報を聴いて激しく動揺し、一種の幻覚を観た直後に視力が回復するという衝撃的な体験をする中で、「神からドイツを救済する使命を授かった」と確信するようになった、と言われています。

2)ナチ党内部での権力確立に向けた闘争期

第一次世界戦後のヒトラーは、一時的に軍の諜報機関にスカウトされ、兵士への宣伝工作や 有力な党組織への潜入調査に従事し始めますが、その中でナチ党の前身であるドイツ労働者党への潜入調査中に同党の主義主張に共鳴し、最終的には諜報機関を離脱して党専従の活動家となっていきます。
ドイツ労働者党で活動する中でヒトラーは、演説の名手と目されるようになり、ユダヤ人、周辺国、他の政治団体、資本家などへの舌鋒鋭い攻撃で、党内でも有力な政治家として評価を高めることとなりました。
このあたりのヒトラーの動きは、共和党大統領候補者としてのトランプ氏の攻撃的な遊説活動を彷彿とさせるところがあるような気がしています。

ヒトラー演説

こうして党の指導者としての活動を軌道に乗せたヒトラーは、党内クーデターを実行して指導権を確立し、ナチス式敬礼を取り入れ、ミュンヘンの社交界でも上流階級から受け入れられ、ますます影響力を増大させていくことになりました。
こののち、いわゆるミュンヘン一揆を起こして失敗しますが、ヒトラーは逮捕後の裁判では全ての責任を自分で引き受けつつ、法廷で自説を主張する戦術を採用して、ルーデンドルフと同レベルの責任能力のある大物として世間から評価されることに成功しました。
さらに法廷では、検察側からも同情と共感を勝ち得ていたようであり、判決は要塞禁固5年というものでしたが、要塞刑務所に収容中も厚遇されていた、と言われています。そういう意味では、このころには既にヒトラーは、周囲を圧するカリスマ性を有していた、ということになるんでしょうか。
この要塞刑務所収容中に執筆を始めたのが、かの有名な「我が闘争」であり、収容後8カ月ほどを経た1925年12月には早くも釈放されました。
我が闘争

その後、1929年の大恐慌勃発までは、党内権力闘争に明け暮れたり、「我が闘争」を完成させたりして過ごしていましたが、まだまだ牧歌的な時代を過ごしていた印象もあるような気がしています。
ただし、この牧歌的な時代にヒトラーの政策構想は、確実に固まっていき「我が闘争」という形で結実していくわけですが、当時はほとんどの人間が真に受けてはいなかったのではないでしょうか。
こののち世界がヒトラーの構想に飲み込まれていく過程で、徐々に恐怖と混乱が世界を覆っていくことになるのです。

パリ陥落

小池新党に怯え,前倒し総選挙を目指す安倍首相のトランプ大統領への朝貢的対米従属の淵源に迫る!
トランプのアメリカファースト密着の朝貢的対米従属でドンシン関係を目指す安倍首相の前倒し総選挙はメイ首相の二の舞か?

トランプによる非常事態宣言や米中冷戦の激化は大統領再選に向けた黒幕バノンのアメリカファースト戦略の一環である!

バノン、トランプ大統領
トランプ大統領は次々に暴露される政権内幕情報を炎上商法のネタとして最大限活用しつつあるようですが、これまでのトランプ政権の動きをトレースすると、中国弱体化を本気で推進する貿易戦争の発動、金正恩との首脳会談実現、ジョン・ブレナン前CIA長官の機密へのアクセス権限剥奪、ティラーソン国務長官、マクマスター国家安全保障担当補佐官の失脚、など、暴露本「炎と怒り」の主要部分をリークして訣別したはずのアメリカファースト革命を思想的に体現するバノン氏が公言していたシナリオの通りにトランプ大統領が動いていると言わざるを得ません!
今後トランプ大統領は、さらなるマスコミのフェイクニュースへの攻撃を行いつつ、ロシアンゲート疑惑や与野党との折衝に対処しながら、コアな支持基盤の確保・中間選挙勝利・大統領再選に向けて、アメリカ市民を中心に据えてエスタブリッシュメントを打倒を目指すアメリカファースト路線を徹底的に追求していくことになります。

トランプ青年実業家

1.トランプ氏が大統領選挙に当選した理由としてのバノン氏の世界観
1)特殊で巨大すぎる役割に疲弊するアメリカの解放
2)マスコミやプロの政治評論家が読み違えた選挙民とトランプ氏の連帯
3)選挙結果に対する有権者の動揺と喝采
2.今回の大統領選の帰趨を決した激戦州の情勢
1)オハイオの形勢
2)フロリダの形勢
3.トランプ大統領時代の世界情勢はどうなるのか
1)世界の警察官からの脱却
2)普通の国としてのアメリカの方向性
3)トランプ大統領の勝利に困惑し驚愕する有識者やエリート達

1.トランプ氏が大統領選挙に当選した理由としてのバノン氏の世界観

1)特殊で巨大すぎる役割に疲弊するアメリカの解放

アメリカ役割

トランプ氏が大方の予想を裏切り、アメリカ大統領に当選した理由については、アメリカ型民主主義や資本主義の制度疲労もあるかも知れません。
アメリカの多くの有権者は、「ワシントンの官僚やウォール街の投機家が操る既存体制を解体して、オバマに期待して裏切られた真の変革を多少なりとも実現するためには、しがらみのないフレッシュ?なトランプが良いとの選択」をした、とも言えましょうか。

トランプ氏に関しては、自前の資金力で大資本の操り人形にならずに、政治活動が可能な自主独立的な政治家という意味では、日本で類似の立場を確保していたのは「刎頸の交わり」の小佐野賢治の資金力を活用出来た、あの田中角栄のような気がします。
かつての田中角栄も当初は既存のエスタブリッシュメントで固められた体制に、風穴を開けることが期待されて、今太閤とうたわれたものででした。

それはさておき、特に軍事外交を中心に国際社会に密接にコミットメントするアメリカの非常に積極的な姿勢は、かつてフランクリン・ルーズベルトがアドルフ・ヒトラーの世界征服活動に対抗して、イギリス等を支援するために孤立主義を放棄して以来確立されてきたものと言えましょう。その後は戦後の冷戦期から今日に至るまで「世界の平和と安全にかなり強引に関与」する中で、「世界の警察官」としての特殊な超大国の在り方を追求してきた、と言う状況がありました。
昨今では中東への積極的な関与としてのアフガンやイラクへの直接介入やサウジアラビアへの米軍の駐留などが特筆されます。
そういう経緯がある中で、トランプ氏は、そのようなこれまでのアメリカの国際社会における特殊な在り方を根本的に変革し、『戦略的な世界の平和と安全を中心に考えるのではなく、まずアメリカ及びアメリカ国民の暮らしと安全を第一に考える素直な常識人としての発想』でアメリカを指導することを目指している人物である、ということを選挙民に印象付けることに成功したことが最大の勝因でしょう。
そして、そのようなシナリオを描きトランプ大統領の選挙戦を演出したのが、トランプ氏の選挙対策本部長で2017年8月まで首席戦略官を歴任し、ブライトバートに復帰した後、表面上は暴露本への情報リークでトランプ大統領と訣別したため現在はフリーランスの立場にある、とされているバノン氏ということになるでしょう。

2)マスコミやプロの政治評論家が読み違えた選挙民とトランプ氏の連帯

ニューヨークタイムズ

2016年の合衆国大統領選挙の結果に関しては、基本的には「アメリカの有権者が、これまでの理想主義的な建て前の議論に飽きて、目の前の現実を重視して本音で投票した」ということだ、と想定されます。
出口調査時点ですらも「トランプには投票していない」とコメントしながら、実際にはトランプに投票していた有権者も多かったようであり、多くの有権者が表向きはトランプに投票したとなると「体裁上カッコ悪い」という要素を持ちながらも、秘密が守られる投票所の中では「ドナルド・トランプ」の名前を選んだ、ということになります。
このようなトランプ氏への多くの市民の支持に裏打ちされた驚くほど多くの「隠れトランプ票」が雪崩を打って流れ込んでくることによって、マスコミも専門家も票を大幅に読み違え、結果的にアメリカ市民に騙された、ということになりましょうか。

このトランプ氏が動かした滔々たる票の流れは、見方によれば「投票行動がばれると体裁が悪いものの、どうしても投票してしまうという魔力」が、トランプ氏及びその選挙活動の中にあったということになるんでしょうか。このことは、多少ナチスの台頭を彷彿とさせる要素もありますし、通常巷間に言われる通りアメリカの何年か後を追いかけている日本にも、そのうちに似たような光景が展開するような予感もしています。

3)選挙結果に対する有権者の動揺と喝采

EU離脱
2016年大統領選挙での大方の人間がほとんど想定しない選挙結果という点に関しては、その重大さという一点でも「イギリスのEU離脱を巡る国民投票の再現」という感じもしました。欧州に滔々と流れ込む中東からの移民の流れと、それに対抗する移民排斥派を中心とする極右政党の台頭が懸念されていますが、流石に「流行を先取りするイギリス」は、今回もそのような欧州大陸の時代の流れを驚くべき形で先取りし、「EU離脱」という結果を導き出しました。このような重大な歴史の地殻変動は、世界的に連鎖することがあるのかも知れませんが、2017年は欧州大陸でも、フランス、ドイツをはじめとして重要な選挙があり、今回の英米の驚天動地の選挙結果は特にドイツの政治情勢に影響を与えたとも言え、第四がどのように影響するか、まったく目が離せなくなりました。

尚、2016年合衆国大統領選挙の選挙結果に対する抗議行動の盛り上がりは、あり得ない結果に対する棄権者の抗議のようにも感じられ、「今更行動しても遅すぎる」という点でも「イギリスの離脱反対派の油断に共通」するところも多く感じられます。
突き詰めて言えば「選挙は事前の予想で決まるのではなく、最終的な選挙結果で決まる」ということを常に肝に銘じておかなくては、民主主義における政治活動は出来ない、ということになりましょうか。

、2016年の大統領選挙戦において、飛び出してきたトランプの数々の『暴言』は、マスコミや選挙のプロのような玄人からすれば、「投票結果に直結する目くじらを立てるような最悪の選挙活動であった」でしょう。
しかるに最終盤に飛び出してきたトランプ氏の「女性の敵のような言動に関する報道」も「トランプ氏への投票を決意した有権者からすれば日常のテーブルトーク次元」で大した問題ではなかった?ことを考えれば、一度トランプに流れた現状に対する怒りや閉塞感を覚える「真の変革のマグマ」の大きな流れるのを止めることは出来なかった、ということになります。
このあたりは「暴言、虚言」と既存巨大マスコミが騒ぐほど、かなりの数の有権者は「マスコミの欺瞞を直感」しつつ「トランプ側に立って拍手喝采する循環」の流れが出来上がっていったと考えざるを得ません。そしてそのような喝采は、「いわゆる白人低所得者層」という枠組みを超えて広く深くアメリカの中枢部に広がっていった、ということになるでしょう。
ともかく、トランプが「本来行われるべきだった政策の論理と具体的な行動方針を有権者に届く言葉」で語りかけ、かつ「アメリカの栄光に結び付けた」時点で前回のオバマの「変革=Change」に似た「大統領選挙の勝利の方程式」がゆっくりと、しかし確実に動き始めたのではないでしょうか。
このあたりの魔術のような巧みな選挙戦術を主導し、計算通りに選挙戦を勝利に導いたのが、トランプ大統領の選挙対策の責任者であったバノン氏の最大の功績になるでしょう。

2.2016年の合衆国大統領選挙の帰趨を決した激戦州の情勢

1)オハイオの形勢

オハイオ州
オハイオは、選挙人18で、ここ何回かの選挙で民主、共和の双方が交互に勝っていた激戦州であるが、全米の縮図的なところがあり、トランプ氏にベッタリと観られた白人貧困層だけでなくリベラルな白人中間層も多く、一見したところではトランプ氏に大量の票が流れず、クリントンが有利な要素も強い、と事前には想定されていました。
そういう中で、もしトランプ氏がオハイオを取れば「隠れトランプ支持者が予想以上に多い」ことが証明され、全米の票の流れも想定外な状況になりうる試金石とも目されている州であったと言えましょう。
結果的には、ここでトランプ氏が勝利したことで、クリントン陣営に衝撃が走り、全米のマスコミやプロの政治評論家達も自分たちの票読みが実は間違っていたのではないか、ということに遅まきながら気づくことになります。

2)フロリダの形勢

フロリダ州
フロリダは、トランプ氏がメキシコ国境の壁建設公約等で攻撃対象にしていたヒスパニックも多く、オハイオなどと違って白人も貧困層が少なく富裕層高年齢層が多いということで、基本的にはクリントン圧勝、少なくとも勝利は間違いない、とされていました。
そういう中で、フロリダでの最終的な選挙結果を観れば、実際のところ「多くの白人有権者層はブッシュ時代のネオコンやオバマの人道的中東介入政策を本音では嫌っていた」のではないか、と思えるような状況が現出されました。
すなわち、アメリカの主流とでも言うべき有権者層に、このあたりで一度「トランプの掲げる国内重視、世界への介入縮小方針で行ってみるのがアメリカの国益にもなるのではないか」との「広範な世論形成や世界認識が出てきた」と言えるのかも知れません。
結局、トランプ氏を勝利に導いたのはいわゆる白人貧困層だけではなく、それ以外の「広範な隠れ支持者?が雪崩現象的にトランプ氏の単純明快なアメリカ第一主義の論理と公約に共鳴した結果」ということになりましょう。

確かに現在のアメリカは、「軍事力は世界に冠たるレベルを未だに維持していますが、国内のインフラの老朽化は深刻で、新規にインフラを整備してきた中国の沿海部の大都市エリアや日本には太刀打ち出来ない」ことは、アメリカの心ある人々からすれば火を見るより明らか、と言えましょう。
このあたりに関して、トランプが公約する巨大なインフラ投資の魅力は大きく、フランクリン・ルーズベルトのニューディール政策あるいは、ヒトラーのアウトバーン建設による景気回復を想起させる要素もあり、レーガン時代の軍事予算大幅増額より、余程アメリカ経済及び世界経済に好影響を与えそうな予感もあり、それにつれて世界の株価も上昇傾向にある今日この頃です。

3.トランプ大統領時代の世界情勢はどうなるのか

1)世界の警察官からの脱却

海兵隊
2016年の大統領選挙戦中のトランプ氏の発言を聴いていると、「アメリカが戦後維持してきた世界の警察官としての役割を放棄して普通の国になりたがっている」ように思われてなりませんが、そうなった場合の世界情勢は果たしてどうなってしまうのでしょうか?

まず考えられるのは現代に生きる市民達が、非常に長期にわたった第二次世界大戦の「戦後」の終焉を目撃し、新たな世界秩序が再構築される瞬間を眼前にする可能性があるのではないか、ということです。
第二次世界大戦における最大の主戦場であった欧州の東部戦線でナチス・ドイツを壊滅に追い込んだソビエト連邦は、オスマン帝国のように顕著な衰退期間を過ごすこともなく1991年にあっけなく崩壊してしまいました。今回はソ連崩壊後に一極によるゆるやかな覇権体制を構築していたアメリカも、トランプ大統領の登場とともにようやく唯一の覇権国の地位を放棄し「普通の国」になっていくということなのかも知れません。
しかし、考えてみれば第二次世界大戦の戦後は、「今日の展開の早い世界情勢の中では、例外的に異様に長期間維持されてきた」と痛感せざるを得ないでしょう。すなわち2017年は第二次世界大戦終結以来72年を経過したわけですが、例えば日露戦争終結の72年後といえば1978年ごろとなりますが、もし1978年に日露戦争のことを日常的に意識したり、今日の「戦後」を生きる感覚で「日露戦争後」を感じている人間は誰もいなかったのではないでしょうか。
そういう意味でも、今日の時点で第二次世界大戦における「連合国の完璧な無条件降伏による勝利」と「枢軸側の壊滅的な敗戦の意義」を、かつての枢軸国の一員として噛みしめてみるのも世界史的な意義があるのかもしれません。

2)普通の国としてのアメリカの方向性

デトロイト廃墟
トランプ氏の世界戦略の基本には、「余裕を失ったアメリカは、もはや安保タダ乗り論を一切許せる状況にない」という論理が頭をもたげてきている印象があります。
アメリカが同盟国との間に防衛協定等を締結し、「空理空論的な戦略的な優位を維持しようと努力」している間に、「アメリカの保護のもとで格下の同盟諸国が応分の防衛費の負担をすることなく、ぼろ儲けしているのを指をくわえて眺めるのは到底我慢出来ない」ので、「アメリカも同じ次元で普通の国として、可能な限りの儲けの分け前に与るのが当たり前である」、という非常に単純で当然の論理が、トランプ氏及びその熱狂的な支持者の発している世界へのメッセージとなりましょうか。

このような常識的な当たり前の認識と論理は、ワシントンの戦後の政界の常識の延長線上からは、なかなか出てこない発想でしょう。そういう中で政界のアウトサイダーとしてのトランプ氏は、そういう「アメリカの普通の人々から観れば異常ながら、ワシントンの政治エリートからすれば金科玉条だった世界観」をぶち壊して、アメリカの戦略を「真の意味でのアメリカファースト」あるいは「アメリカの普通の市民ファースト」な「普通の国の意識」にコペルニクス的に転回することを目指しており、そこにトランプ革命の意義と目的がある、と言えるでしょう。

そういう文脈でトランプ氏の言動を見直せば、トランプ氏は非常に一貫性のある人物であり一連の選挙戦での発言は、暴言どころか極めて普通の常識的な発言録となりうるわけであり、戦後以来オバマまでの指導者たちの掲げてきた「理想に基づく戦略の数々」の方が、将来のある時点で振り返ると「アメリカ市民をないがしろにしながら、極端な政策課題を掲げた異様な国家を長らく維持するような、あり得ない政治状況が具現化していた時代だった」と映ることになるのかも知れないのです。

ちなみに、トランプ陣営のこのような世界観や政治哲学には、バノン氏の考え方がほぼそっくりそのまま反映されている、と言っても過言ではないでしょう。

3)トランプ大統領の勝利に困惑し驚愕する有識者やエリート達

トランプ対メディア
こうしてみるとトランプ氏の世界観を奉ずる政権に対処するには、これまでの長期にわたる戦後戦略の延長線上で発想していては、なかなか柔軟に対応できない、ことになりましょうか。
アメリカの有識者やマスコミの困惑や驚愕ぶりは、そのような混乱の有様を示すパニックのようにも見えますが、意外に証券市場が安定あるいは、トランプの政策に期待して堅調に推移しているのは、経済界の柔軟性を示す証左でもあり、興味深いところです。

今回の選挙戦を特集した番組の一部に、特に911以降の中東への本格介入後のアメリカ軍の人的被害の大きさや社会的なダメージを取り上げたものがありました。すなわち中東介入におけるアメリカ軍の犠牲者そのものは数千人規模のようであるが、そのまわりには大きな精神的ダメージを受けて帰国後に自殺したり、心的外傷を発症するアメリカ軍関係者は何倍何十倍も存在している状況があります。
これはまさに映画「ランボー」の主人公のように中東の戦地からの帰還後に、アメリカでの生活になじめなかったり、退役後に満足な収入のある職に就けないケースが数多く発生しているということでもあるのです。
そのように観てくると、さしもの超大国アメリカの無敵のアメリカ軍も、そろそろ対外武力介入政策を放棄して本格的な癒しの時期に移行していかないと社会・経済的にもたないところまで疲弊しているように思われてなりません。確かにオバマ前大統領も「世界の警察官」をやめるとは言っていましたし、中東からの一定の撤収方針は示しましたが、アメリカの戦略方針を劇的に転換するところまでのインパクトはありませんでした。
そういう意味でも、トランプ氏の世界戦略の転換と国内重視のアメリカファーストな政策は、アメリカの広範な民意を率直に反映しているということになりましょうか。

このようなバノン流の世界観を現実のワシントンやニューヨークに巣食うエスタブリッシュメントや欧州の批判的な同盟国との関係性の中で、どこまで維持出来るかは、トランプ大統領の再選可能性にも関わってくる興味深い事案になりそうです。

ちなみに、そのようなアメリカの内向きへの戦略の転換は、「新たな世界新秩序の構築」を模索するプーチンのロシアやアジアにおける中国、ひいては「欧州においてEUをベースにひそかに新帝国を建設しつつあるドイツ」あたりの思うツボということになるのかも知れませんが。

本稿の延長線上でトランプ大統領のラストバタリオン的な性格を詳しく分析した以下のリンクもご参照ください。

トランプ=ラストバタリオンのアメリカ乗っ取り=ナチ化とエスタブリッシュメント側のマスコミやマイノリティを巻き込んだ反撃がアメリカ大混乱の真相である!

トランプ大統領は米中冷戦、西側同盟解体=バノン主義=アメリカファースト路線と毛沢東的な人民独裁手法で大統領再選を目指す!

トランプ大統領の人民独裁的なバノン主義=アメリカファースト路線と毛沢東の文化大革命路線の類似性の検討!

アメリカファースト

トランプ大統領の理想主義的なアメリカファースト路線の延長線上にある、毛沢東による人民ファースト路線の極限の姿としての文化大革命時代の大混乱の真相を解明し、トランプ政権が真に目指す最終的な目的地として疑われるヒトラーが予言したアメリカにおける文化大革命的な分断や混乱の可能性を検証する。

1.トランプ大統領のアメリカファースト路線と現代中国に厳然として残る強固な文革的路線
1)改革開放の論理に抵抗する保守派の拠りどころとしての文革とトランプ大統領のアメリカファースト
2)現代中国における「文革」と「改革開放」の二路線とトランプ大統領のアメリカファーストの関連性
3)劉少奇の「調整政策」の継続としての鄧小平の「改革開放政策」
2.現代中国においても根強い「文革」的見地からの「改革開放政策」批判
1)「万言書」の出現とその文革的論理からの改革開放批判
2)現代に復活した文革期と共通する用語法による改革開放路線批判の論調
3)文革終結直後の毛沢東らの用語法の全面否定と現代中国の政治経済状況
3.中華帝国の伝統的な政治方針に連なるのは改革開放路線か?
1)社会主義中国における毛沢東路線と劉少奇・鄧小平路線の相克
2)中華帝国伝統の賢人主導のエリート主義に連なる改革開放路線

1.トランプ大統領のアメリカファースト路線と現代中国に厳然として残る強固な文革的路線

文化大革命2

1)改革開放の論理に抵抗する保守派の拠りどころとしての文革とトランプ大統領のアメリカファースト

現時点においても、文革あるいは文革的路線というのは、中華人民共和国における「原理主義的な社会主義の表出」及び「毛沢東思想原理主義の表出」とでも言えるだろう。そういう意味では、「改革開放の論理」に抵抗する保守派の理論的・情念的な根拠には文革的なるものが常に息づいているのではなかろうか。
例えば、鄧小平に対抗する保守派の重鎮であった陳雲は、1985年6月に「開放自由化政策は、必要であり正しい政策であるが、断じて社会主義経済体制や社会主義精神文明に対立するものであってはならない」と述べた。過度な商品経済の導入が社会主義体制の根幹である計画経済の主導性を喪失させ、党幹部の腐敗を招き、ひいては社会主義体制を危うくするという危機意識が保守派の一貫した共通認識であった。(1)
トランプ大統領

このように現代中国においては、常に改革開放路線=経済成長一辺倒あるいは経済合理性追求一辺倒の方向性に対する原理的で根強い批判的な精神が、草の根レベルの人民から中国共産党の最高幹部のレベルまで維持されてきたことは特筆に値するのではないだろうか。
翻ってアメリカのトランプ大統領誕生までの状況は、まさに批判勢力なき状況での改革開放路線一辺倒の草の根の人民大衆の声を一切無視した暴走政治が行われてきた、と言えるかもしれない。確かにアメリカにおいては、民主主義は制度としては機能しており、投票によって候補者は選ばれてきてはいたが、本当の草の根のアメリカの声を代弁する候補者は絶えて久しく、多くのアメリカ市民たちは投票を諦め、ワシントンやウォール街のエリートの政治経済を中心とした国家権力の壟断、専横をただ苦々しく白けた面持ちで見つめてきたということではなかったか。

そのように考えれば、中国では国家を根底から転覆し、中国共産党の一党独裁体制を人民の手によって一時的に解体して、経済成長一辺倒の「前期改革開放路線」とでもいうべき、「調整政策」を国家の最高指導者であった劉少奇や鄧小平を引きずり降ろして、毛沢東の理想主義的な路線に大転換する、という王朝末期の農民大反乱モドキの革命劇を一世代前に体験していたわけである。さらについ最近までその文革の指導者たちが政権の中枢に残存していた、というのは特筆に値する、と言えよう。
すなわち、中国共産党は党内に根本的でどうしても相いれないような価値観の相違する対立軸を孕んだ、改革開放と文化大革命という二つの路線が併存していたのに対して、アメリカにおける二大政党制の中には対立軸はなく、選挙が行われていると言っても本当の意味での政治路線の交代は、今次のトランプ大統領の政権発足までは存在しなかった、ということになるだろう。

このような現状を子細に観察すれば、アメリカと中国を比較して真の意味で、どちらが国民の声を政治に反映しているのか、原点に立ち返って再検討しなければならない、と思われてならない。

2)現代中国における「文革」と「改革開放」の二路線とトランプ大統領のアメリカファーストの関連性

趙紫陽

上記のような論点に関して「文革時期」においては当時の中国の現状を「資本主義復活の道へ歩みつつあり」「党内指導部が腐敗堕落して資本主義実権派を形成している」(2)と断じていたわけであり、微妙な違いながらまだまだ「改革開放時期」の方が穏和な問題提起であると言えようか。
このような保守派の発想の根本には、原理主義的な社会主義・毛沢東思想への傾倒があり、その根底には文革的なるものへの郷愁や追慕の念が未だに垣間見えるとも言えようか。そして、このような根強い保守派の抵抗の中で鄧小平も、ギリギリの局面で1987年1月の胡耀邦総書記失脚、1989年6月の天安門事件勃発と趙紫陽総書記失脚と言うように自らの手足とでも言うべき「改革開放の推進者としての側近」を切り捨てつつ、辛うじて改革開放路線だけは維持する、と言う綱渡りを演じてきたのでは無かったかと思われる。

すなわち、毛沢東に並び称される最高実力者たる鄧小平ですら、改革開放路線推進の最大の側近であった胡耀邦と趙紫陽の二人を失脚させなければ生き延びられないほどに、文革路線は根強く現代中国の中枢部を維持しており、経済成長最優先や国内外の政治経済情勢に一切左右されない、草の根レベルの人民の声を代弁しようとする原理主義的な毛沢東思想が、中国共産党の最高レベルにも未だに脈々と息づいていることの証左ともいえよう。

さらに文化大革命的な状況を呈し始めていた天安門広場を埋めた人民大衆に対して、改革解放路線の旗手であったはずの最高実力者,鄧小平は躊躇なく武力鎮圧を命令し、まさに危機一髪の時点で政権転覆を回避したわけであるが、天安門事件というのは一見進歩的ながら実態は人民大衆の意思よりも政権維持を最優先するという改革開放路線の真相を垣間見せる、恐ろしい事実の証左でもあるのではないだろうか。

トランプ大統領22
翻って、アメリカにおいては、特に第二次世界大戦後これまで政財官軍の中枢を支配してきた勢力は、中国におけるような人民大衆レベルの支持に根差した文革派のような抵抗勢力を持たずに国家を壟断してきたわけであり、トランプ大統領誕生までの大統領選挙は、ほとんどどちらが勝っても政策に大差のない、いわゆる出来レースの様相を呈していた、と言えよう。
アイゼンハワー大統領が、退任時にコメントしたいわゆる軍産複合体とも称されるような支配勢力は、アメリカを「トンキン湾事件等のフェイクニュース」でベトナム戦争の泥沼に引きずりこみ、冷戦における軍拡競争を演出し、さらには冷戦が終結するとテロとの戦争と称して再度「大量破壊兵器問題等のフェイクニュース」を駆使してイラク戦争の泥沼を演出するという展開で国力を浪費し、アメリカ市民の真の利益と繁栄の基盤を掘り崩し続けている、というのがトランプ大統領の政権発足までのアメリカの現状であったと言えよう。
また前記のような見解がトランプ大統領の選挙戦以来の主張でもあり、そのような既存の巨大で間違った権力機構からアメリカを解放し、アメリカ市民ファーストの政治を確立するのがアメリカファーストの革命(Make America Great Again)である、との信念と決意を強調し続けているわけである。

まさに人民民主主義的な文化大革命を推進した毛沢東の主張も想起するような、根本的で徹底的な国家権力の転覆を目指すのがトランプ大統領による革命の本質と言えるのかもしれない。

3)劉少奇の「調整政策」の継続としての鄧小平の「改革開放政策」

劉少奇

もし毛沢東が現在生きていたとすれば、このような「改革開放政策」真っ盛りの現状をどうとらえるか興味深いところであろう。また劉少奇は、文革の露と消え去ったが、文革の最大の標的の一人である鄧小平は生き残り、文革直前まで推進してきた「調整政策」を、文革を終結させた後に、直ちに「改革開放」という新しいキャッチフレーズで再開したとは言えないだろうか。
さらに「帝国的な見地」から言えば、文革は「人民大衆に政治参加を促し、民主の基盤を拡大する運動であったが、中華世界では未だに自覚的な自由な市民は育っておらず、文革の惹起した大衆運動は徒に混乱を助長することが多かった」ということになろうか。また文革を終結させる帝国的論理としては「これまで同様に共産党が指導権を再確立し、人民の軽挙妄動を取り締まり、秩序ある中国的特色のある社会主義建設に邁進する」ために「これまでの社会主義建設の問題点を是正し、経済を活性化させるために大胆な政策の採用も辞さない」という方針のもとに「改革開放政策」が推進された、と言いかえることも出来よう。

2.現代中国においても根強い「文革」的見地からの「改革開放政策」批判

万言書

1)「万言書」の出現とその文革的論理からの改革開放批判

「改革開放」の時代に入っても文革期に強調された「社会主義の原理主義的側面」の議論は、常に火種として燻り続けていた。特に1995年暮れには、改革開放政策の現状を厳しく批判する無署名の論文である「万言書」が出現して大きな波紋となった。「万言書」は中国の現状について、社会主義の根幹をなすべき国有部門が急激な凋落を観る一方で、外資・私営・私有部門が急速に成長し、既に社会主義とは言えない状況に至っていると指摘した。このような私営私有部門の肥大化を反映して、新興の資産階級が急速に台頭し、自分達の階級の権益擁護のために政権に参画しつつあり、人民代表大会の議席を得たり、党支部書記に就任していることも強調した。さらにこのような資本主義経済部門や資産階級の台頭で中国社会の貧富の差が拡大する中で、党・行政幹部の深刻な腐敗も同時に進行している。また党員指導幹部にもマルクス主義に対する無関心や無理解が蔓延し、マルクス主義の理念が失われつつあり、まさに資産階級の願いである「共産党の瓦解」を招く危険性が急速に高まりつつあるとした。(3)

2)現代に復活した文革期と共通する用語法による改革開放路線批判の論調

文化大革命333
これは、改革開放路線が「資本主義路線」をひた走っている、とも受け取れる批判であろう。そしてこの「資本主義復活」批判は、「文革期の毛沢東らによる劉少奇や鄧小平らの政治路線に向けて行われた批判と同様の用語法」(4)が遂に復活してきたとも言えるものだった。まさに文革の亡霊が彷徨い出てきたような印象であるが、文革期にはこのような批判に続いてどのような事態が発生したのであろうか。
文革当時は、このような文脈のもとに劉少奇・鄧小平を代表とする共産党指導部に「ブルジョア司令部」が存在するとされ、彼らは反動的ブルジョアジーの立場にたって、ブルジョア独裁を実行し、文化大革命に反対していると攻撃された。その後、劉少奇・鄧小平らは「資本主義の道を歩む実権派」「ブルジョア路線の推進者」「反党・反社会主義」とのレッテルを貼られてパージされた。(5)さらに党の指導官僚の大半は中央機関だけでなく、地方機関に至るまで「党内の資本主義の道を歩む実権派」として厳しい批判を浴びて、その地位から追放され、造反派や紅衛兵により身柄を拘束され、時には処刑にまで至るものも多かったという。(6)

3)文革終結直後の毛沢東らの用語法の全面否定と現代中国の政治経済状況

毛沢東333
それでは、文革後の改革開放時代に入ると、このような文革時代の毛沢東らの用語法は、どのように再解釈されたのであろうか。
1981年に採択された「歴史決議」によって、文革を「全面否定」した鄧小平らの党指導部は、「ブルジョア司令部」「走資派」「実権派」と言った毛沢東の用語法を事実を歪曲した荒唐無稽の誤ったものとして全面的に斥けた。「歴史決議」では「文化大革命で修正主義、資本主義として批判された多くの事象は、実際はまさしくマルクス主義原理であり社会主義の原則であった。「文革によって打倒された走資派」とは、党と国家の指導幹部であり、社会主義事業の中核をなす人々だったのであり、劉少奇・鄧小平を中心とする「ブルジョア司令部」なるものは根本的に存在しなかった」とした。(7)
まさに毛沢東らの文革期の用語法の全面否定であるが、実際のところはどうなのであろうか。劉少奇亡きあと、鄧小平を中心に「再開」された改革開放路線の結実である今日の中国社会は、ある意味では毛沢東らが「純粋」に希求していた「社会主義の原理」からすれば、確かに「逸脱」とも取られかねないであろう。また「改革開放司令部」が、「ブルジョア司令部」「走資派」「実権派」であると指摘されても、そうではないと論証するのは現在の中国社会の現実を観れば困難な印象もあると言えよう。

3.中華帝国の伝統的な政治方針に連なるのは改革開放路線か?

大躍進2

1)社会主義中国における毛沢東路線と劉少奇・鄧小平路線の相克

「調整政策」は、1958年から1960年にかけて推進された「大躍進」「人民公社」「総路線」の「三面紅旗」政策が人為的原因による2千万人とも言われる大量餓死者を出すなどの失政を招いた結果として、これを修正する目的で提起された。(8)
こうして観ると今日に至る革命成就以降の中国共産党の政策は、2つの大きな路線の相互作用で成り立っているようにも観察される。一つは「毛沢東を中心とする純粋な社会主義を原理的に追求する立場」と「鄧小平を中心とする社会主義は堅持しつつ効率的で有効な方法論は何でも採用する立場」となろうか。
そして、「建国から三面紅旗政策」と「文化大革命」の時期は前者が主導しており、「調整政策」と「改革開放」の時期は後者が指導していると言えるだろう。

2)中華帝国伝統の賢人主導のエリート主義に連なる改革開放路線

周恩来

伝統的な中華帝国の方向性からすれば、前者は「人民を前面に立たせ過ぎで、帝国の存立を危うくさせかねない素人じみた政策が多い」が、後者は「賢人主導のエリート政治で、柔軟で実際的な面もあり、危機に際しては果断な措置もとれる」ということで、やはり後者こそが「帝国の法統」を継ぐ路線ではないかと認識している。

尚、本稿で取り上げたアメリカ版文化大革命については、アメリカを混乱に陥れようとするトランプ大統領やバノン氏のラストバタリオン的な姿勢も含めて以下のリンクで詳しく分析しています。
トランプ政権を離れたバノンはヒトラーの予言実現のためアメリカ版文化大革命を扇動する!

<参考文献>
(1)加々美光行:歴史の中の文化大革命 岩波書店 2001 序章 文化大革命をどう見るか p16
(2)加々美光行:歴史の中の文化大革命 岩波書店 2001 序章 文化大革命をどう見るか p18
(3)加々美光行:歴史の中の文化大革命 岩波書店 2001 序章 文化大革命をどう見るか p19-p20
(4)加々美光行:歴史の中の文化大革命 岩波書店 2001 序章 文化大革命をどう見るか p20
(5)安藤正士:現代中国 歴史と近代化 岩波書店 1989 Ⅶ 文化大革命の諸問題 p229-p230
(6)加々美光行:歴史の中の文化大革命 岩波書店 2001 序章 文化大革命をどう見るか p20-p21
(7)加々美光行:歴史の中の文化大革命 岩波書店 2001 序章 文化大革命をどう見るか p21
(8)加々美光行:歴史の中の文化大革命 岩波書店 2001 序章 文化大革命をどう見るか p23

トランプ大統領べったりでアメリカの属国もどきの日本の現状から脱するための具体的な方策を探る!

井伊直弼

小栗忠順

自主独立の精神を欠きアメリカ帝国内での安寧ファーストで対米従属最優先のドナルド・シンぞー関係から脱却するための日本における愛国的真正保守の論理を探る。

1.トランプ政権誕生の意義
2.日本の保守政治家の朝貢的対米従属傾向
3.日本独自の国家戦略に基づく日本のためのグランドデザイン確立の必要性
4.安倍政権の前倒し解散と小池都知事,前原代表による民進党解体,希望の党創設を巡る国辱的ドタバタ劇
5.小池都知事の希望の党が惨敗した要因の分析
6.日本型リベラルの再生としての立憲民主党の可能性
7.政治面における国民意識に訴える自主自立的な誇り高いトリクルダウンの必要性

1.トランプ政権誕生の意義

2016年のイギリスのEU離脱から始まり、特にその後のトランプ政権の成立により、世界は一変してしまった印象があります。
トランプ政権の特徴の一つは、大統領選挙の時点から顕著になっていましたが、既存の巨大メディアやマスコミとの世界認識の対立にあり、マスコミを介さないSNSを中心とするインターネットを活用した市民への直接の働きかけにある、とも言えましょうか。
またトランプ大統領の口癖に「フェイクニュース」という用語法がありますが、まさに事実と真実の見分けは困難であり、昔から「本当の真実は大衆から隠されてきた」という印象が、常に市民の側には内在していたことは間違いありません。ともかく、トランプ氏という全くのアウトサイダーがホワイトハウスという権力の中枢に座ることで、爽快感を感じたり痛快な思いをする市民が、アメリカに数多く存在することは紛れもない事実でしょう。

バノン氏

そのあたりの感覚は実際のところ私自身も共有しており、オバマ氏からトランプ氏に政権が移行して、かつてない面白い時代が到来したことを、非常に強く実感しているいるところです。
ちなみに、トランプ大統領の選挙戦でのアメリカ市民への直接の語り掛けの基調となる部分に多大な影響を与えたとされるバノン首席戦略官に至っては、レーニンを真面目に崇拝するアナキストである、との論評すらあります。これなどはトランプ政権の特殊性が、かなり異様なレベルであることの例証として十分でしょう。

アメリカで起こったことは、その後何年かすると日本にも似たような形で反映するケースがありますが、今後近い将来に橋下氏や小池都知事の活躍以上に衝撃的で日本の現在及び将来に影響を及ぼすような政治的な事件の到来が、間近に迫りつつあることを予感する今日この頃とも言えましょうか。
ヤルタ会談

2.日本の保守政治家の朝貢的対米従属傾向

私個人としては、トランプ大統領の出現に合わせて、日本もいい加減に対米従属の朝貢姿勢を改め、アジアに対しても世界に対しても、戦略的でより主体的な責任感のある立場と行動が要請されてきているのではないか、と痛感しているところです。
オバマ大統領時代までは、対米自立政策を積極的に推進すると田中角栄氏のように徹底的に狙い撃ちされて天寿を全う出来ず、対米従属の朝貢外交姿勢を徹底して貫けば岸信介氏のように現役時代は首相をつとめ引退後も政界の黒幕として長らく安泰である、というのが戦後の日本の政治家にとっての宿命のように位置づけられてきました。

しかるに、どうやらトランプ大統領は、日本の政治家が対米自立路線を突っ走っても、それほど大きな問題にしないような、これまでのアメリカの対日戦略の枠組みを超える柔軟で画期的な指導者である、というイメージがあります。
このことは、戦後長らく対米従属を基本とする朝貢外交を国家戦略の根幹とせざるを得なかった日本にとって、千載一遇の好機が巡ってきた、とも考えられます。

まさにこの好機にいたずらに、これまでの対米従属、朝貢外交姿勢一辺倒の政治方針から一歩も脱却出来ないのは、非常にもったいない行き方ではないでしょうか。

無条件降伏

3.日本独自の国家戦略に基づく日本のためのグランドデザイン確立の必要性

かつて戦前の日本は、大東亜共栄圏構想なる国家戦略を持ち、曲がりなりにも極東における新秩序構築を目指していたことがありましたが、戦後は一転して戦略なき国家に墜して長らく過ごしてきました。

一方、第二次世界大戦敗戦直後に日本とほぼ同様な境遇から出発したドイツは、史上初の欧州葬で追悼されることになったドイツ統一の父であるヘルムート・コール元首相やその愛弟子とも言われるアンゲラ・メルケル首相の指導下で、いつの間にか、EUの実質的な盟主となり、アドルフ・ヒトラーが構想していた欧州制覇を、軍事力よりも実は有効で、長期的な展望が可能な政治力・経済力を駆使して今まさに実現しつつあるところです。さらにもう一歩進めて中東からの難民殺到という現実を観れば、イスラム圏の一部もドイツ第四帝国に組み込みつつある現状かも知れません。
ヒトラー

翻って日本の極東における現状は、日中、日韓、日朝のいずれの関係を観ても、正常に進展している感じもなく、日本が極東の盟主だとは、誰も考えていない、と言わざるを得ないでしょう。

このあたりの日本の将来展望の不透明さに一石を投じ、新たなる戦略で国家のグランドデザインを描き、真の意味で未来に期待とワクワク感の持てるような構想を確立していく必要性を痛感しているところです。

4.安倍政権の前倒し解散と小池都知事,前原代表による民進党解体,希望の党創設を巡る国辱的ドタバタ劇

ちなみに、2017年7月2日の都議選で国政レベルの選挙戦では第二次安倍政権下では初めて大敗した安倍首相は、2017年10月10日に衆議院選挙を行うべく解散を断行しました。当初は、安倍首相が前倒し総選挙で大敗したイギリスのメイ首相の二の舞を舞うであろうと観察していたのですが、野党側のドタバタ劇は安倍首相側の混乱を遥かに上回り、大方の予想を超える選挙戦の様相を呈しました。
都議選大敗安倍首相

すなわち、2017年9月1日に蓮舫代表の勇退に伴う党首選挙を行った民進党は、枝野幸雄を破った前原誠司を新代表に選んだものの、その前原が新代表になったのも束の間の出来事で、突然小池都知事が急遽総選挙向けに立ち上げた希望の党に合流することを決断したのです。
その後、希望の党が民進党の議員全てを受け入れるわけではないことが判明し、リベラル的な世論の受け皿が消滅することを憂いた枝野幸雄を中心とした民進党の一部議員は2017年10月2日に立憲民主党を創設し、民進党は完全な分裂に追い込まれました。
この一連の動きは、安倍政権にとって素直に喜べる追い風とは言えないでしょうが、新党首を迎えて清新な気風で人心一新し、安倍政権に対峙するはずだった民進党がいきなり消滅するという、驚くべき展開でもあり以前から指摘されていた前原誠司の頼りなさが、安倍長期政権を打倒出来るかどうかの瀬戸際でまたもや遺憾なく発揮された、とでもいうべき状況となりました。
それにしても、2017年10月22日の総選挙にもし希望の党が勝利しても、党首である小池都知事は立候補していないため首相にはなれないので、安倍政権の本格的な受け皿にはなりえない形勢であり、希望の党も過半数が取れないであろうことを前提とし、安倍政権あるいは自民党の過半数維持の当面の継続を予想した選挙戦を展開している状況で、政権選択を公言しながら非常に中途半端な選挙となってしまいました。
希望の党小池都知事

5.小池都知事の希望の党が惨敗した要因の分析

もし希望の党が過半数を制したら、小池都知事はミャンマーのアウンサンスーチー女史のように、首相にはならないものの国家顧問的な立場で、国政を指導するということになりかねませんが、西側先進国でそのようなドタバタ劇を演じている国をあまり見かけないだけに、当面の政権運営だけでなく、日本の立場や国際的な地位に影響を与えかねないと心配していました。

結局、小池都知事の思惑は脆くも外れ、民進党の当選目当ての野合政治家たちを吸収した希望の党は惨敗し、私利私欲にまみれた自分ファーストの醜態有り様を見せつけられた市民の側から完全にノーサインを突き付けられる結果になりました。
安倍首相を早期の解散に走らせたのは、そもそも小池都知事が都議選で圧勝し、その余勢を駆って国政に進出する準備を整える前に、何とか民意?を反映した多数を確保して、政権の延命を図ろうとした愚挙だったわけですが、今回は小池都知事がいろいろな政治的失策を重ねたおかげで、自民党は嬉しい誤算とでもいうべき大勝を手にしました。
「神は細部に宿る」とも言いますが、日本の政治状況がこれほど繊細なバランスの上に築かれているとは、不覚にも思っていなかったので、今回の政界のドタバタ劇や小池都知事の失墜ぶりは、まさに他山の石として素晴らしい教訓を提供してくれたもの、と感謝しています。
小池都知事の敗因は、単に旧民進党のリベラルな議員への「排除いたします」「選別する」「全員受け入れる気はさらさらない」と言った一連の発言がマスコミで過剰に取り上げられただけではなく、やはり「自らがリスクを取り衆議院に鞍替えし、首班指名を安倍首相を競う姿勢を見せず、逃げ腰だったこと」「実際問題としてリセットを強調しながら、安保法制や憲法問題等をはじめとして安倍政権との政策の違いがはっきりしなかったこと」「舛添前都知事が引っかかったような狭量でセコイと評されかねない、政策協定書の原案が独り歩きしたこと」などが挙げられるでしょう。

さらに本来希望の党が切り崩す対象は、政策や思想が真逆である民進党ではなく、自民党のハズであり、結局安倍首相が押さえ込んでいる自民党でも右寄りの線に限りなく近い小池都知事が整合性のある政界再編を目指すのは、現時点ではかなり厳しかったというべきでしょうか。
民進党が離党者続出の中で崩壊しかけており、前原誠司と言う党首が頼りなくて、騙しやすいから手を突っ込んでヒトもカネも乗っ取る、というのでは流石に21世紀を迎えて、かつての道徳意識を喪失しつつある日本社会も受け入れることは出来なかった、というのが小池都知事の政権戦略の最大の失敗要因となりましょうか。

アウンサンスーチー

6.日本型リベラルの再生としての立憲民主党の可能性

どうせなら、社会党崩壊で雲散霧消し、まとまった政治勢力としての受け皿を欠いている日本の健全なリベラルな民心の代弁者として、立憲民主党がかつての社会党並みにパワーを取り戻し、自民党のリベラル勢力も吸収して、200議席を超えるような政治状況になれば、日本の二大政党制もかなり安定するような気もする今日この頃です。
立憲民主党枝野

どちらかというと、この日本におけるリベラルな方向性の政治勢力は、これまでも自民党やその延長線上にある保守政治家の対米従属姿勢とは一線を画する政治姿勢を示しており、日本ファーストな健全な愛国思想を発揮してきているような印象もあるので、社会党の事実上の消滅以来自民党を中心とする保守勢力が壟断し、対米従属の朝貢姿勢で政治的な暴走を繰り返す日本の政治状況を日本の市民に取り戻す第一歩になるのではないか、と期待しているというところでしょうか。
小林よしのり,山尾しおり

ちなみに、これまではいわゆる保守の論客として、左翼的立場の政治勢力と論戦することが多かったあの小林よしのり氏が、多くの政策課題における方針を確認した上で、方向性の近さから、今回はハッキリと立憲民主党支持を打ち出したのは印象的でした。
不倫問題を抱えながらも、逆境の中で当選を果たした山尾しおりも含めて、いわゆる健全なリベラルと真性の保守との政治路線の近さが、日本でもようやく小林よしのりをはじめとする影響力のある論客の間で確認されつつある、ということでしょうか。

ともかく、トランプ政権に対抗するアメリカのリベラルのパワーは、多少ねじれ感もありますが、日本では有り得ないものであり、明日の日本の政治のあるべき姿の一つになりそうな気もします。

帰ってきたヒトラー

これなどは、「帰ってきたヒトラー」で蘇ったアドルフ・ヒトラーが現代ドイツの保守政治家の政治姿勢に共感せず、却ってドイツの国土を守り真の市民ファーストを貫く「緑の党」に連帯する心境を抱くのに共通するところもあるのかもしれませんが・・・

7.政治面における国民意識に訴える自主自立的な誇り高いトリクルダウンの必要性

米軍オスプレイ
本来、当面選挙で問うべきは、対米従属朝貢路線の堅持か、治外法権的な日米地位協定見直しをはじめとする対米従属的な立場の見直しによる健全な国家意識の再生か、というあたりにあるような気もするところです。

2017月10月の総選挙では、自公政権側与党は事前の予想通り得票を伸ばして過半数を超え、総議席数の2/3を超える勢いで、維新や希望も含めると改憲勢力は全議席の70%程度を占有する勢いとなってきました。とはいえ、憲法改正反対を党是として結成された立憲民主党も躍進したため、安倍首相も性急で強引な改憲に向けた動きは当面自粛しつつ、慎重に世論の動向を見極めながら安保法制を強行したように機を観て一気に攻勢に出てくるのではないでしょうか。

ともかく、学園スキャンダルに端を発し、安倍首相に解散を決断させ、自民党政権の屋台骨を揺るがすかに観られた日本の政局の混乱要素は、結果的に民進党解体、自公政権与党の優位の確立、改憲勢力の絶対多数確保という、正に安倍首相が思い描いた構図を遥かに上回るような果実を日本の保守勢力にもたらしたということになりました。

久々に長期政権を維持する安倍首相の政治的才能は、流石に野党の比ではないことが証明された格好ですが、学園スキャンダルで安倍政権に批判的だった世論の動向は伏流水のように行き場なく、さまよい続けている印象も否めません。

その一部の流れを汲み上げたのが、立憲民主党だったわけですが、まだまだ政権交代を実現するようなパワーを確立するには至りませんでした。そういう意味では、今回の総選挙は安倍政権に批判的な世論の機微を十分に吸い上げることが出来ない結果に終わったわけで、大げさに言えば民主主義の危機ともいえるのかもしれません。

そういう意味で、民主党台頭時にも言われた政権交代可能な健全で強力な自民党に対抗する勢力の確立が、日本の民主主義の健全な発展のためには必要不可欠と認識しています。

さらにもう一歩進めて、新自由主義的な立場や鄧小平が改革開放で唱えた先富論でも、いわゆる経済のトリクルダウンが言われ、「フロントランナーがまず目一杯儲ければ、その影響で社会全体にもその豊かさが滴り落ちるように広まっていく?」と言う話がありますが、同様に「政治や国民意識においてもトリクルダウンと言うのがあるのではないか」、と私自身は考えています(ちなみに、日本における新自由主義の旗手であった竹中平蔵氏は、このところの西側先進諸国の社会情勢も踏まえて、経済面でのトリクルダウンの幻想性を指摘しているようですが)。
すなわち、現状の日本社会においては、2017年11月のトランプ大統領訪日で安倍首相が証明したように、政界トップが対米従属の朝貢的な姿勢に凝り固まっているので、その影響が国民意識全体にトリクルダウンして健全で独自の国家戦略や愛国心が育たず、アメリカと完璧に一心同体のあたかもアメリカの51番目の州のような異様な国家体制になっているが、日本でもトップの意思が変化し対米従属の朝貢的姿勢を止めて日米地位協定のような不平等条約を撤廃する方向で動き出し、独自の国家のグランドデザインを描き、アメリカの戦略から自立して自前の戦略を構築出来るようになれば、日本全体の国民意識においても健全でまともな愛国心や国家への誇りがトリクルダウンしてきて、より実り豊かで、世界に貢献出来る誇り高く自信に満ちた日本を取り戻せるのではないか、と考えているところです。

尚、現在の自民党政権の異様な対米従属、朝貢外交姿勢については以下のリンクにて詳しく分析しています。

トランプ大統領ファーストでアメリカの属国のような日本の現状と自民党政権の限界!

トランプ大統領ファーストでアメリカの属国と化した日本の現状は日米地位協定に明記されている!

トランプ大統領ファーストでアメリカの属国たる日本の現状を分析する!

トランプ大統領の非常事態宣言はヒトラーの全権委任法による独裁体制確立と同様にラストバタリオンによるアメリカ乗っ取り=ナチ化の突破口である!

いつ決断するのか、と注視していたメキシコ国境の壁建設を巡る、トランプ大統領の非常事態宣言発動と強権的な政策遂行開始が遂に現実のものとなりました。

これまで、トランプ政権の実態について、いろいろ指摘してきましたが、今回の非常事態宣言は、戒厳令や軍事独裁へ直結しかねない、民主主義を危機に陥れる可能性の高い選択と言えなくもないでしょう。

これは、当にヒトラーが独裁体制を確立するキッカケとなった全権委任法を彷彿とさせるものとも言え、トランプ政権は非常事態宣言を発動することで、そのラストバタリオン的な性格を益々白日の下に晒し始めたと言えるのではないでしょうか?

ちなみに、これまでのトランプ政権内幕暴露本とは別格の信憑性を持ったニクソン大統領を辞任に追い込んだとされる「大統領の陰謀」を暴いた一人のボブ・ウッドワードの「Fear: Trump in the White House」が全米で発売され、初日に90万部を完売したとされていますが、この中に記載されている内容を子細に検討すれば、トランプ大統領が「アメリカを当に弱体化し世界を混乱の渦に巻き込もうとしている」という主張の正当性が証明されているような気がしましたが、今回の非常事態宣言の発動は、単なる政権内部の混乱と政策遂行の混迷くらいでは済まない形勢の進展であり、トランプ政権によりアメリカの政治状況が、より重大な危機の段階に入ったと言えるのではないでしょうか。

もはや、トランプのラストバタリオンとしての正体を見抜いたエスタブリッシュメント側の反撃として、ニューヨークタイムズが既に時効でこれまでにも語り尽された感のあるトランプの脱税や父親からの相続の問題を蒸し返し、ワシントンポストが昔の名前で出てきた訳でもないんでしょうが、当に満を持してウッドワードのいわゆる「これまでにない信憑性の非常に高いトランプ政権内幕暴露本」をそれぞれ中間選挙に照準を合わせてぶつけてきたこと、などは今回の非常事態宣言発動に較べれば小さな話に思えてきました。

今後のアメリカ政治の見どころの一つは、これらのエスタブリッシュメント陣営の大攻勢に対して、トランプ=ラストバタリオン陣営がどのような反転攻勢を行って、中間選挙の結果を踏まえて下院の過半数を制した民主党の攻勢を凌ぎ大統領選挙での再選を勝ち取れるか、というところではありますが、今回の非常事態宣言発動のより、政権と野党の抗争の一層の激化は避けられないでしょう。

ともかくこれまでにトランプ大統領は、既にラストバタリオンの正体を白日の下にさらけ出したかのように、盤石を誇っていたアメリカの支配構造を根底から覆すような言動を繰り返してきましたが、2018年春の段階で手の平を返したように不倶戴天の敵と思われた金正恩との首脳会談の設定を行い、返す刀でティラーソン国務長官、マクマスター国家安全保障担当補佐官を解任し、自らの意向を反映し易いポンペオ、ボルトン両氏を後任に据えました。
北朝鮮と融和しつつ、中国とは貿易戦争から遂には「封じ込め政策」あるいはペンス副大統領の演説を読み解いた先には米中新冷戦の様相すら漂い始めました。またモラー特別捜査官の干渉を嘲笑うかのようにロシアのプーチン大統領への融和的な姿勢も目立ち始めています。
さらに、ここへ来て非常事態宣言発動と言うことになれば、トランプ政権の施策には訣別したはずのバノン路線がより本格的に復活してきた印象も強いですが、全般的には当にトランプ大統領独裁政権の完成間近の様相とでも言うべき展開も感ざるを得ないところです。そういう意味では、政治的にはバノン氏は、既に復権を果たし、トランプ大統領再選のシナリオを練り上げ、その再選戦略を完成してトランプに承認され、トランプ政権はそのシナリオ=再選戦略に基づいて動き始めている、とも言えるかも知れません。

そもそもトランプ大統領は、就任以来アメリカの分断を助長し、特にリベラル派やマスコミの神経を逆撫でするような言動を故意に強調してきたような節がありますが、遂に南軍のリー将軍像撤去をめぐる混乱に関して、アメリカの政治指導者が避けてきた白人至上主義に同情的で、リベラルなデモ隊と白人至上主義団体を同列視するようなコメントを行い、世論やマスコミを敢えて激昂させており、国民統合の象徴としての資質については疑問視せざるを得ません。
このような言動は、到底これまでの合衆国大統領では有り得ないものですが、トランプ大統領の動きの背後には、ヒトラーの予言したラストバタリオンの計算され尽くしたアメリカ解体劇が隠されているのかも知れません!?
そういう意味では、モラー特別捜査官が本当に捜査すべきトランプ関連の疑惑は、ロシアンゲートなどという皮相的で小規模な疑惑ではなく、UFO問題や南極大陸の地下基地や南米の秘密基地を巡る非公開情報問題、ひいては第二次世界大戦の幕引きを巡る米ソの非公開機密情報問題まで包含したラストバタリオンゲートとでも言うべき壮大なナチスドイツやヒトラーにまつわる非公開機密情報事案とトランプ政権との関連にある、ような気もしてきています。

ナチスUFO

1.アメリカを混乱に陥れるトランプ大統領の言動?
1)アドルフ・ヒトラーが予言したラストバタリオンとは何か?
2)アメリカのパンドラの箱を開け放ったトランプ大統領の出現
2.トランプ大統領の目指す偉大なアメリカ復活の先にあるもの
1)トランプ大統領の選挙スローガンに出てくる偉大な頃のアメリカの状況
2)徐々に浸食される白人男性優位のアメリカ社会の変貌とトランプ氏勝利の連関
3.トランプ大統領の実態は、アドルフ・ヒトラーの予言したラストバタリオンである
1)トランプ大統領は本当に「偉大なアメリカを復活」させる気があるのか?
2)トランプ大統領はアメリカを弱体化させるための「草」としてのエージェントかもしれない?
3)メキシコ元大統領が遂にトランプ大統領とアドルフ・ヒトラーの類似性に言及
4)トランプ政権誕生にロシア・プーチンだけでなくヒトラーのラストバタリオンも関与?
5)アドルフ・ヒトラーのラストバタリオン予言の実現を急ぐかのようなトランプ大統領の異様な言動

1.アメリカを混乱に陥れるトランプ大統領の言動?

1)アドルフ・ヒトラーが予言したラストバタリオンとは何か?

ラストバタリオン
第二次世界大戦末期の1945年に、かのアドルフ・ヒトラーがラジオを通じて最後の演説を行った中で非常に気になる用語に「ラストバタリオン」というのがあり、そこでは当時「ドイツを東西から挟撃していたソ連とアメリカが、ある程度時間が経過すると仲違いして争い始める」ことを予想し、「その争いの中でラストバタリオンたるドイツの軍団が決定的な役割を果たし、最終的な勝利を手にする」というような発言をしている、と聞いたことがあります。
このヒトラー最後の演説は、非常に聞き取りにくく、文章に起こすのも大変なようで断片的にしか伝わっていないようですが、少なくとも演説の中核としての「予言」は、第二次世界大戦に間もなく勝利するであろう米ソ間で発生する争いの間隙を突いてドイツのラストバタリオン集団が出現し、世界の混乱を助長しつつ最終的な勝利が約束されている、というように受け取れるのではないかと思われます。

2)アメリカのパンドラの箱を開け放ったトランプ大統領の出現

反トランプデモ
さてNHKのBS1スペシャルに「ザ・リアル・ボイス~ダイナーからアメリカの本音が聞こえる」という番組があり、トランプ大統領の出現についてアメリカ国民の本音をアメリカの大衆食堂に集う普通の市民から聞いて回るという内容で非常に興味深いレポートになっていました。その中で「トランプの言う偉大なアメリカの復活というスローガンの中に人種差別の復活や社会の融和に逆行する強いメッセージが含まれており、トランプが大統領になることでアメリカ社会に不可逆的に亀裂が発生してしまった」という話がありました。
すなわち、トランプ大統領は選挙戦を通じて、さらには大統領就任後も一貫して、第二次世界大戦後のアメリカ社会が進歩?として封印あるいは少なくとも表面には出さずに来た、差別意識や人種、男女間、移民等への複雑な感情の渦を再び解き放ち、パンドラの箱を開けて混乱を撒き散らしている、ということは間違いないようですね。
そのことは、アメリカ全土を覆う数百万人を数える反トランプデモでも、立証されているような気がします。
首都ワシントンのホワイトハウスの直近のエリアも含めて、全米で数百万人の反政府デモが行われて市民が積極的に参加しているというのは、歴史的社会的環境は大幅に違い、一概に比較は出来ないことは言うまでもありませんが、1989年の天安門事件当時の中国の混乱時をも上回るような規模であることは事実です。

2.トランプ大統領の目指す偉大なアメリカ復活の先にあるもの

1)トランプ大統領の選挙スローガンに出てくる偉大な頃のアメリカの状況

偉大なるアメリカ

4 R

トランプ大統領が政権の最大の公約として連呼する「Make America Great Again」でイメージされている1950年代のアメリカは、確かに第二次世界大戦に勝利し、好景気に沸き経済も圧倒的に優勢で、アメリカ車も理想のクルマとみなされる絶頂期であったが、社会的には根強い差別感情が底流に(あるいは表立って)存在し、白人至上主義とまでは言えないものの、白人でしかも男性が圧倒的に優遇され大手を振って闊歩していた時代であった、ということになるようです。
逆に言えば、そのころは黒人も女性も新しくアメリカに入国してきた移民たちも、肩身が狭く厳しい差別に晒されて不自由で窮屈な暮らしを余儀なくされていた、ということになるといえましょうか。
今回、トランプ氏が大統領になって、反射的に?反トランプデモが全米を覆うようになったのは、「50年代の偉大なるアメリカ」当時の肩身が狭く窮屈な暮らしを思い出したり想像したりして、現時点では自由や伸び伸びと溌溂とした生き方を実現しているような人々が実感として、トランプ大統領の導こうとしている「偉大なるアメリカの時代」への拒絶意識を表明している、ということになりそうです。
そして、そのあたりを強調するリベラル派やマスコミに敢えて鉄槌を下すようにリベラル系のデモ隊と白人至上主義団体を同列視するようなコメントを発し、世論やマスコミを激昂させている状況と言えましょうか。

2)徐々に浸食される白人男性優位のアメリカ社会の変貌とトランプ氏の勝利の連関

公民権運動キング牧師

その後50年代以降のアメリカは時代が下るにつれ、製造業の中核であった自動車産業が崩壊に瀕したり、家電製品市場に日本製が溢れたり、消費財には中国製が溢れたり、というように徐々にアメリカの第二次産業が衰退していき、それと軌を一にするように「白人男性優位の社会から弱者保護、人種差別撤廃、女性の地位向上、移民への寛容」といったようなリベラルな施策の効果もあり、「本来アメリカの中核であったはずの白人男性が肩身の狭い思い」をする社会になってしまった、ということになるんでしょう。

今回のトランプ大統領の出現は、そういう「50年代以降のアメリカのリベラルを基調とした流れに真っ向から反発」するものであり、「いつの間にか虐げられていた白人の地位復活」こそが、今回の大統領選挙の隠れた最大の争点に浮上してきた状況の中で、大半のマスコミやリベラルな知識人も、ほとんど全くと言っていいほど、そのことに気付くことなくトランプ氏の勝利をただただ唖然として見守るという、結果になったようです。

3.トランプ大統領の実態は、アドルフ・ヒトラーの予言したナチスのラストバタリオンである

1)トランプは本当に「偉大なアメリカを復活」させる気があるのか?

アメリカ移民船
そういう中で、就任早々トランプ大統領は、オバマ時代の遺産を葬り去ることを急ぐかのように、矢継ぎ早に大統領令を連発しています。
オバマケアやTPP、移民や難民に対する寛容政策といったオバマ氏が中心的に取り組んだ、「リベラルで先進的な業績」の数々が一片の大統領令でいとも簡単に振り出しに戻されているようにも見える今日この頃とも言えましょうか。
オバマが政権終盤に向けて整備に努力し、ようやく日の目を見た、あるいは滑り出しつつあった、これらの政策の有効性を現実の流れの中で一切評価することなく、あっさりと廃止するような挙に出るトランプ大統領の行動は、控えめに見積もっても慎重さが足りないと言えますし、直言してしまうと短慮な軽挙妄動であり、自己の信念のみを貫こうとする猪突猛進の類と言わざるを得ないでしょう。
まさか、合衆国大統領にこのような行動に出る人物が就任し、ホワイトハウスが少なくとも4年間も支配されるというのは、つい数か月前までは世界中の多くの人々が、予想もしなかった出来事でもあり、何だか空恐ろしいような気がすると言えましょうか。

2)トランプはアメリカを弱体化させるための「草」としてのエージェントかもしれない?

アプレンティス
トランプ氏に関しては、一時クリントン陣営からは「プーチン氏の操り人形で、ロシアのエージェント紛いの人物である」とのスキャンダラスな中傷が語られたこともありましたが、これは荒唐無稽としてアメリカ市民に受け入れられることもなく選挙結果にも反映せずにクリントン氏は敗北を喫しました。

ちなみにトランプ氏はドイツ系であり、祖父の代の1885年にドイツからアメリカに渡ってきた移民三世にあたるようですが、トランプ家ではアメリカとドイツが二度にわたって世界戦争で対決した経緯もあり、ドイツ系ではなくスウェーデン系であると主張していた時期もあるようです。
このようなトランプ家の出自の話を聞いて思い出したのは、昔の忍者の類型の中にあった「草」と呼ばれる存在のことでした。
ここで取り上げた「草」と呼ばれる忍者の一群は、表立った武力としての忍術を駆使するわけではなく、「敵地に潜入して職業や住居を確保して、完全に敵地の人間として生活し、何代にもわたって情報収集や敵地の市民の洗脳、思想工作などを主体に陰に陽に継続的に活動」する存在であった、ということです。
忍者、草

そういえば、トランプ氏はテレビ番組や映画などのメディアに積極的に出演することで知られており、特に2004年から放送されているNBCの「アプレンティス(The Apprentice)」に、おいては番組のホスト役を自らプロデュースしながら務めていたのは有名な話です。ちなみに、この番組の視聴者の多くがトランプに投票した、という説もあるようです。
また映画に関しては、比較的有名な「ホームアローン2」への出演をはじめ、多くの映画に端役ながら顔を出しているのも、確認出来るところです。こうしてみるとトランプ氏は、何だか顔を出せるところには、どこにでも積極的に出演する姿勢が見え隠れしているような気がします。
だからと言って、トランプ氏がいわゆる「草」のような存在であるとは、誰も断言することはできませんが。。。
ホームアローン2

ちなみに現代のドイツの政治的な主流派であるメルケル首相やドイツのマスコミからは、名実ともにトランプ氏の選挙戦以来の偏狭なナショナリズムに基づくような極端な主張や保護主義的な姿勢に対する警戒感が強く、ルーツを同じくするドイツ系大統領の出現とは言っても独米関係がにわかに緊密化する気配は全く感じられません。
少なくとも表面的には、現代のドイツがトランプ氏に「EUの盟主として自由と民主主義の旗手を標榜しつつあるドイツ連邦共和国」との関連で、「草」の役割を期待していることは、今のところなさそうであると言えるでしょう。

3)メキシコ元大統領が遂にトランプ大統領とアドルフ・ヒトラーの類似性に言及

ラストバタリオン

さて、そういう中でトランプ大統領に「メキシコ国境に壁を築くにあたって建設資金を出せ、と恫喝」されているメキシコでは、元大統領がトランプ氏とアドルフ・ヒトラーの類似性に言及しているようです。メキシコ元大統領が遂にトランプ大統領とアドルフ・ヒトラーの類似性に言及

アメリカ国内外で、トランプ大統領が就任早々に発令した「難民の受け入れ停止、イスラム圏からの入国禁止」に関する大統領令への反発が大きく広がりましたが、このようなトランプ大統領の決定がアメリカの建国の理念や国家の成り立ちといった、アメリカを歴史的に形作ってきた基本的な枠組みを根底から覆す危険で不可逆的な流れを引き起こすのではないか、との懸念も湧き上がって来ている印象があります。
このようにトランプ大統領は、就任早々アメリカという偉大な超大国の成り立ちを揺るがすような、ある意味では国家の成立基盤を根底から危うくするような政策を、「議会の承認や国民の意見」を一切顧慮する様子もなく?展開してきているわけですが、これはいわゆる「授権法(=非常事態の発生に対し通常の立法・行政手続きを行わずに権力を行使できる権限を与える法律)」の発動を連発する独裁者の行動を連想させるところもあるでしょうか。

こうしてみると、そのうちトランプ氏は、ロシアのプーチンのエージェントではなく、また言うまでもなく「EUを操りヨーロッパの盟主の地位を伺いながらも自由貿易と民主主義の旗手を自認する現代のドイツ」の「草」でもなく、「その真の実態はアメリカを混乱させ弱体化するために送り込まれた、かつてアドルフ・ヒトラーが最後の演説で言及した”ナチスドイツの最終勝利??を確保するためのラストバタリオン”ではないか?!」というような説が出てきても不思議ではないかもしれません。

4)トランプ政権誕生にロシア・プーチンだけでなくヒトラーのラストバタリオンも関与?

ロシアンゲート

すなわち、かつて第二次世界大戦の末期に、ヒトラーが予言していたラストバタリオンは、米ソに匹敵あるいは凌駕する強力で一枚岩の軍事的な集団として世界を混乱に陥れる、と想定されていたように読み取れますが、その後の時代の急激な変化の中でソ連が崩壊した今日に至っては、世界を制するためには当面は唯一の超大国アメリカを内部から掘り崩せば事足りる、という方向に方針が変容したのかも知れません。

国家安全保障担当補佐官のフリン氏の辞任問題も含めてトランプ政権とその成立に向けた合衆国大統領選挙の過程にはロシアが関与していた可能性が取り沙汰されており、ニューヨークタイムズあたりはその線でトランプ政権に徹底抗戦の構えに出ているようですが、普通の人が常識的に判別出来るような世の中に当たり前に出回っている情報の多くは、実はその大半が世論を誘導するための引っ掛け情報である、という見方があります。
つまり本当に重要な事案の真相は、表に出ている情報の裏の裏を読まないとはっきりしてこない、というわけです。例えばアメリカ政府の情報操作で記憶に新しいのは、イラク戦争開戦の前に政権側から流布され続け、今や世紀のガセネタとして暴露されている「大量破壊兵器」の問題というのもありました。これなどは、あまりにも単純過ぎるウソではありましたが、世界はうっかり騙されてしまいました。

そういう意味で、今回の合衆国大統領選挙の選挙戦の推移の中に何らかの謀略的な世論操作が入り込んでいるということは、十分にあり得ます。確かに選挙自体は100%公正に行われ、開票結果に関しても操作が行われたことはない、とは信じたいと思います。とはいえトランプ大統領自身は、開票集計作業そのものにも疑問を呈しており、選挙に負けたら開票の不正を追及すると宣言していたようですし、選挙に勝った後も執念深く自分の得票率がヒラリー・クリントンより低いのは開票作業に不正があったからではないか、とコメントしていましたが。。。

5)アドルフ・ヒトラーのラストバタリオン予言の実現を急ぐかのようなトランプ大統領の異様な言動

トランプ,ラストバタリオン
さて、かつてアドルフ・ヒトラーが予言あるいは目指していたような現在の世界を根底から混乱させるために、現時点で最も効果的な方策は何かと考えれば、真っ先に思いつくのは2016年段階で言えば目前で大々的に展開する合衆国大統領選挙に介入し、自らのエージェントを合衆国のトップに送り込んでアメリカを中枢から覆すことであったのではないでしょうか。
これまでの普通の合衆国大統領選挙は、エスタブリッシュメントから本命・対抗が選ばれて、選挙戦も大枠は筋書通りに展開し、新大統領選出後も約束された未来が淡々と展開するパターンで来たわけですが、今回は大幅に様相が違っていた印象が強いと言えるでしょう。
すなわち今回の大統領選挙では選挙期間中に、効果的な場面の最も的確なタイミングで、クリントン候補の私用メール問題が取り沙汰され、大統領選挙の結果に大きく影響を与えたことは間違いないところです。特に最終盤でトランプ氏の女性スキャンダルに対抗するかのように、投票ギリギリのタイミングでまたもやクリントン氏の私用メール問題が再燃し、有権者の投票行動に微妙な影響を与えたように想定されます。

そう考えると誰もが思いつくロシア=プーチン氏が合衆国大統領選挙に介入したという表面的な事象もさることながら、ここは事態の真相に近づくためにより深読みして世界に潜伏するヒトラーのラストバタリオンが「かつてアドルフ・ヒトラーが政権を獲得し、独裁者の地位を確立した過程通りに、100%民主的な手続き」を踏襲して、遂に合衆国大統領のポジションにエージェントを送り込み、世界のどこかに潜伏してきたナチス復活の最終局面としてアメリカを中枢から破壊する、という戦術に出た来たと考えるのもあながち不合理ではないかもしれません。

特に、南北戦争以来くすぶってきた南北の分断の古傷すら、こじ開けようとするかのような、トランプ大統領のシャーロッツビル事件への対応などは、アメリカの成り立ちや市民意識の根幹を敢えて揺るがそうと、混乱を煽っている節も見え隠れしています。

そういう方向性からトランプ政権の異常性を子細に検討していけば、モラー特別捜査官の捜査対象も自然とロシアンゲートなどという皮相的で大して世界情勢に影響を与えていない事案ではなく、より複雑怪奇で深刻なラストバタリオンゲートとでもいうべき、第二次世界大戦終末期の混乱状況の中でうやむやになってきた、UFOの起源の問題やリチャード・バード将軍が指揮を執った戦後直ぐのハイジャンプ作戦において怪情報が流れた南極地下基地問題、あるいは一部のUボートとともに忽然と数万人の単位で消息不明となったと言われるドイツの最高レベルの科学者や影武者を替え玉として失踪したナチス高官の問題等の真相とトランプ政権の真の政策目標との関連という重大問題の解明にある、ということになるのではないでしょうか。

尚、本稿で取り上げたトランプ大統領=ラストバタリオン説の延長線上でトランプ勝利の要因とバノン氏の関係を分析した以下のリンクもご参照ください。

トランプは米中冷戦や強硬な移民政策を強行しつつ大統領再選に向け人民独裁的手法のバノン主義=アメリカファースト路線を堅持する!

トランプ大統領は米中冷戦、西側同盟解体=バノン主義=アメリカファースト路線と毛沢東的な人民独裁手法で大統領再選を目指す!

毛沢東が文化大革命を断行した目的は中華王朝崩壊時の農民大反乱のエネルギーを活用した国家大改革再現である!

毛沢東,文化大革命

毛沢東が完成しつつあった人民中国の国家体制を文化大革命で根底から覆し、劉少奇や鄧小平を排除して国家を転覆させた目的は、現代版農民大反乱による国家機構の大変革の断行にあった!

1.文化大革命の真の目的
1)「原理的な社会主義」回復のための闘争
2)現存する秩序を破壊し新世界を建設する革命運動
2.文化大革命を推進するための具体的な方策
1)党官僚機構打倒のための熱狂的な大衆動員
2)文化大革命と王朝交代期の農民大反乱の類似性
3.王朝崩壊期の農民大反乱の現代版としての文化大革命
1)既存社会秩序の徹底的再編
2)文化大革命の現代版「農民大反乱」的性格の分析
4.文化大革命で目指された毛沢東の理想社会像と現代中国の状況
1)毛沢東の構想する文化大革命後の中国社会の理想像
2)中華帝国の「農民大反乱」と現代中国の「文化大革命」の共通的性格

1.文化大革命の真の目的

黄巾の乱

1)「原理的な社会主義」回復のための闘争

文化大革命開始以降の初期の段階で徐々にエスカレートしていく毛沢東の「調整政策」に対する反応を観ていくと、文革が毛沢東個人の権力回復闘争だったという側面が希薄に感じられてくる。明らかに毛沢東は、理想とする「原理的な社会主義の概念」を確固として持っており、「調整政策」及び「その推進者」が、そのような「社会主義の在り方」から大きく逸脱しつつあるので、自らの信念に基づいて闘争を開始した、という要素が濃厚にあったのではなかろうか。
このあたりについては、系統的な文革研究の第一人者である王年一も「根本的に言えば、毛沢東は明らかに党中央の後継者をすげ替えたり、中央の第一線を否定したりすることのみを求めたのではなく、それ以上にもっとも純粋でもっとも美しい社会主義社会を準備する条件を作り出そうとして、天下大乱を求め、徹底的にブルジョア反動路線を批判するよう提起した」と述べている。(1)

2)現存する秩序を破壊し新世界を建設する革命運動

フランス革命

さらに1966年5月に毛沢東が林彪に与えた書簡「五・七指示」によれば、毛沢東が劉少奇はじめ中国共産党の多くの指導者を打倒し、各級の組織を破壊してまでも、文化大革命を発動した真の目的は、「旧世界を破壊することを通じて新世界を建設すること」にあったとしている。また1966年5月の「通知」によれば、文化大革命は、「一つの階級が一つの階級を覆す政治大革命」をおこすことであり、その目的は「現存している全ての秩序を破壊する」ことにあるとされていた。(2)

2.文化大革命を推進するための具体的な方策

大衆動員

1)党官僚機構打倒のための熱狂的な大衆動員

こうして「党内の一部の実権派」、さらには党中央にすら発生した「修正主義者」の一掃が、毛沢東にとって社会主義中国の死活的な課題として浮かび上がりつつあった。とはいえ、現実の中国においては、党官僚機構が全ての権限を掌握している中で、そのような課題をどのように解決していけるのか。そのためには、思想・イデオロギーの領域において世論を喚起し、大衆的批判の強烈な圧力の中で党機構の改編を目指すほかなかった。(3)

2)文化大革命と王朝交代期の農民大反乱の類似性

紅衛兵
ここで提起された「問題が蓄積した社会を糺すために、天下大乱を希求し、徹底的な闘争を遂行する」あるいはより鮮明な「旧世界を破壊することを通じて新世界を建設すること」「現存している全ての秩序を破壊する」という「文化大革命の真の目的」と「その解決手法」は、まさに中華世界における「農民大反乱による王朝交代の本質」に相通じるところがあったのではなかろうか。文化大革命により共産党幹部は中央から地方まで大半が地位を追われ(17)、各級の組織は破壊された(4)わけであり、国家組織は根底から揺るがされた。
金観濤によれば、全国的範囲の組織的反乱を実現し、分散性を克服するには、二つの条件が必要であり、その一つが反乱者の共通の目標の設定であり、二つ目が反乱者が相互に連絡できる条件がありタイミング良く集中できなければならない(5)が、当時の中国では「毛沢東の用語」により敵は「ブルジョア司令部」「走資派」「実権派」と明確にされており、反乱者の共通の敵が共産党の全国組織そのものであることが容易に認識出来た。また大規模な農民反乱においては、革命の組織的中核を必要とする(6)が、文革においても「造反派」「紅衛兵」がその機能を十二分に担うこととなった。

3.王朝崩壊期の農民大反乱の現代版としての文化大革命

劉少奇迫害222

1)既存社会秩序の徹底的再編

「ブルジョア司令部」の存在が大衆レベルにおいて認識され始め、劉少奇・鄧小平をも含めた「党内の一部実権派」がその権限を停止され、中央から地方に至るまで「奪権」が引き続き遂行された。
このような奪権闘争は、単に中央・地方の党レベルにとどまらず、実はそうした次元を遥かに超えた社会のあらゆるレベルの権力の問題を噴出させ、しかも同時に中国に内在し蓄積されつつあった様々な社会的葛藤・矛盾、さらには中国の伝統的政治風土のもつある側面を一気に「奪権」という課題へまとわりつかせることとなった。(7)

2)文化大革命の現代版「農民大反乱」的性格の分析

文化大革命5555

中国封建社会においては、儒家を用いて官僚機構を組織し郡県制に基づいて国家の管理を行う、と言う特有の宗法一体化構造が機能していた(8)が、現代中国においては儒家は退いたものの共産党が党員により形成された郡県制の官僚機構を組織し、社会主義イデオロギーに基づき国家の管理を行う、と言う一党独裁体制が貫徹されている。また中国封建社会は宗法一体構造の維持と存続のため「強制御」を有するが、これは「中央の号令を直ちに下達し、各地の状況報告を収集する情報伝達システムを作り上げること、および強制御の執行ネットワークを作り上げること」「システムの実情が理想の平衡状態から乖離した時、中枢をコントロールして柔軟でかつ迅速な反応を行わせ、調節とコントロールを実行すること」という二つの側面がある。(9)中国の共産党が強制御の前者に該当する役割を果たしていることも間違いないところであろう。文化大革命が、そのような党国体制及び官僚機構に向けられた「天下大乱」(1)であったとすれば、これはまさに「農民大反乱」の現代版と言えるのではなかろうか。

4.文化大革命で目指された毛沢東の理想社会像と現代中国の状況

1)毛沢東の構想する文化大革命後の中国社会の理想像

長征

毛沢東は、文化大革命後の中華世界の構想として、「分業を無くし」「差別を無くし」「商品・貨幣を無くす」道を探し求め、結果的に「分業が無く・商品が無い自然経済」と「差別が無い平均主義」が結びついた空想社会主義的な道を模索することとなった。これは流石に生産力の高度の発展と言う前提を無視しており、容易に実現し得るものではなかった。要するに毛沢東は、延安時代の経験を絶対化していた節があり、戦争時代の軍事共産主義生活の成功経験が、分業・商品・差別の撤廃から共産主義に移行する問題までの最適解と考えていたのである。(10)

2)中華帝国の「農民大反乱」と現代中国の「文化大革命」の共通的性格

農民大反乱
別の観方をすれば、毛沢東は中国の農村をベースに空想社会主義的な世界像を描いていたが、現実の現代中国は周恩来・鄧小平が指導する国務院を中心に工業化を進めており、そこでは分業・専門化が進行する中で、近代的な科学技術立国のプランが現実化しつつあった。文革においては、このような社会的・経済的な基盤の違いから来る対立も一要素をなしていたと言えるだろう。(11)
そして、毛沢東の考えた中国の農村をベースにした空想的社会主義路線に、将来展望が見出されないということになれば、やはり中国の行き方としては、かつては「調整政策」と呼ばれ、現在は「改革開放」政策と呼ばれる路線に収斂するのが歴史的帰結だったのではなかろうか。
また中華帝国の伝統の観点からしても、農民大反乱で腐敗堕落した秩序が刷新された後は、清廉潔白だがその構造は、反乱前と本質的な違いの観られない新体制が速やかに秩序を回復して、新たな王朝を開始するという状況(12)も、今日の中国でほぼ似たように繰り返されているような気がするのである。

米中冷戦状況下の習近平の政治目標は文化大革命期の毛沢東個人崇拝と中華帝国皇帝専制体制再現である!

毛沢東が文化大革命で標的にした劉少奇、鄧小平ら実権派、走資派の何が問題にされたのか?

尚、本稿とも関連するアメリカファーストとアメリカ版文化大革命の連関性と中国における民意の直接的な一環としての文化大革命的な動きについて、以下のリンクでも詳しく取り上げています。
トランプのアメリカファースト路線でヒトラーの予言したアメリカの文化大革命的混乱状況が完成する!

<参考文献>
(1)加々美光行:歴史の中の文化大革命 岩波書店 2001 序章 文化大革命をどう見るか p27
(2)安藤正士:現代中国 歴史と近代化 岩波書店 1989 Ⅶ 文化大革命の諸問題 p236-p237
(3)野村浩一:現代中国 現代中国の政治世界 岩波書店 1989 Ⅰ 現代中国政治の展開と動態 p27
(4)安藤正士:現代中国 歴史と近代化 岩波書店 1989 Ⅶ 文化大革命の諸問題 p236
(5)金観濤:中国社会の超安定システム 研文出版 1987 第三章 大動乱と社会の崩壊 p102
(6)金観濤:中国社会の超安定システム 研文出版 1987 第三章 大動乱と社会の崩壊 p103
(7)野村浩一:現代中国 現代中国の政治世界 岩波書店 1989 Ⅰ 現代中国政治の展開と動態 p31-p32
(8)金観濤:中国社会の超安定システム 研文出版 1987 第一章 中国封建社会の宗法一体化構造 p23
(9)金観濤:中国社会の超安定システム 研文出版 1987 第四章 特異な修復メカニズム p111
(10)安藤正士:現代中国 歴史と近代化 岩波書店 1989 Ⅶ 文化大革命の諸問題 p240
(11)安藤正士:現代中国 歴史と近代化 岩波書店 1989 Ⅶ 文化大革命の諸問題 p240-p241
(12)金観濤:中国社会の超安定システム 研文出版 1987 第四章 特異な修復メカニズム p111

トランプ大統領のバノン主義=アメリカファースト路線は理念型国家アメリカをウェストファリア型の普通の国民国家に再編する!

ウェストファリア条約

トランプ以前のアメリカの脱国民国家的で普遍的な価値観をベースとするグローバリズム,市場原理主義に基づく帝国を、ウェストファリア条約に遡りつつ「アントニオ・ネグリの帝国論」をベースに現代マルクス主義的な視点で検討し、それらに対峙するトランプのアメリカファースト革命の根本的な意義を解明していきます。

1.アントニオ・ネグリによる「世界帝国」の概念
1)資本主義の進展による帝国の変質
2)機械装置のような中枢なき新たな帝国の成立
2.「世界帝国」以前の状況を支配した「国民国家」の枠組み
1)ヨーロッパにおける中世の秩序
2)ウェストファリア条約で確立した新たな国際秩序
3)ウェストファリア体制と植民地支配システムの終焉
4)国民国家のような主体の存在しない資本の拡大運動としての帝国
3.「国民国家」による秩序を掘り崩す新たな世界秩序を巡る動きとトランプ革命の関係性
1)ナショナリズムを基盤とするウェストファリア体制に馴染まないアメリカ帝国
2)脱ナショナリズムの普遍的な原理に基づく帝国としてのアメリカ
3)トランプ大統領のアメリカファーストによるグローバリズム,市場原理主義,資本主義への攻撃

1.アントニオ・ネグリによる「世界帝国」の概念

1)資本主義の進展による帝国の変質

円卓会議

ここでベースとなる考え方としてのアントニオ・ネグリの言う「帝国」とは、巨大な資本制システムそれ自体を指していています。このシステムは特定の国家や国民と言う枠を超えたもので「一種の機械装置」であり、特に命令中枢や末端の制御装置も存在しないものです。この「帝国」の捉え方は、いわゆる「近代の帝国」あるいは「帝国主義的な枠組み」とは異なります。「近代の帝国」の捉え方では、帝国主義=資本制システムというものは、国家と資本が合体して、国家の侵略と資本の侵略がほぼ一体としてなされるのが常態でした。これは国家の侵略を国の指導者が先導し、国民は高揚するナショナリズムに踊らされて、それに追随し、結果的に国民国家意識がさらに高まるような状況がベースにありました。
また資本の側においても財閥当主や企業の総帥と言ったような中枢指導層が、国家のトップと一体となって侵略を合議し推進するような中核権力の所在がはっきりした政治体制であったと言えるでしょう。(1)

2)機械装置のような新たな帝国の成立

ドバイ

そういう状況を踏まえてアントニオ・ネグリは、これまでの「国民国家」の延長線上での資本制システムについて取り上げるとともに、さらに現在それを超えるような巨大な資本制システムが「帝国」として成立しつつあることを描写しています。そして、その巨大な資本制システムを背景とする「帝国」は、機械装置のようなもので、命令を発する中枢機能も末端の制御装置も無いような存在で、近代の資本制システムを背景とする「国民国家」とは大きく相違するところがある、という認識を示しています。

それではまず近代西欧諸国の国民国家をベースとする体制が、どのようにして成立してきたかをそれ以前の中世のアナーキーな状況と対比させつつ確認してみましょう。

2.「世界帝国」以前の状況を支配した「国民国家」の枠組み

1)ヨーロッパにおける中世の秩序

ヴァチカン

国民国家をベースとする体制の基盤は、中世のアナーキーな支配状況を克服する過程で最終的に三十年戦争の講和条約であるウェストファリア条約で確立したと言えますが、それでは中世のアナーキーな支配状況とはどのようなものだったでしょうか。

中世の秩序としては、

・封建的な領主と家臣関係において支配が重層的なだけでなく、領域的にも広範な飛び地をもった支配や領主=支配者の頻繁な交替が可能であり、近代的な排他的主権、所有権が確立していない。
・自然な法、宗教、慣習により正統化された地域支配体制で教皇、皇帝などがそれぞれの秩序を支える組織を持っていた。(2)

すなわち、ウェストファリア条約以前の国際秩序の編成原理は、緩やかな「帝国」の原理とでもいうべきものであり、開かれたエリア内を帝国や教会、都市国家をベースにしたネットワークが多層的につないでおり、その主導権は理念上は世界全体を支配したいと考える帝国=古代ローマの後継を志向する「神聖ローマ帝国」や「ローマ教皇庁」が握ろうと努力し、イタリアの都市国家が経済ネットワークをコントロールするような体制でした。

2)ウェストファリア条約で確立した新たな国際秩序

ウェストファリア条約

これに対して三十年戦争後の1648年に戦後の講和条約としてウェストファリア条約が締結されました。
ウェストファリア条約で方向性が定まった国際秩序は、以下のように類型化されます。

・「国際法上の国家主権」の概念が重要な位置を獲得
・中世の教会のような国家より上位の権威を政治権力として否定(政教分離)
・外部の権力を認めず、領域内部の絶対権力を主張するウェストファリア型国家主権

尚、EUの所属国家は、「国際法上の国家主権」は維持しつつ、「ウェストファリア型」国家主権の一部を放棄しており、台湾は後者は維持しつつも前者の獲得は出来ないでいる、と考えてよいでしょう。このようにウェストファリア体制においては、中世的な「帝国」や「ローマ教皇庁」の主導権が後景に退き、主権国家群が新しいシステムを形成することとなりました。(3)

ここにおいて初めて主権国家の位置づけが固まり、領土と国民の範囲が明確になり、主権国家の側からは領土内での国民の安全や私的所有権を保障する意志が明確になった、ということになります。この流れから国家間の安定した外交関係や勢力均衡が模索され、対等な国家関係という観念がある程度までは定着していきます。(4)

3)ウェストファリア体制と植民地支配システムの終焉

植民地支配

このように中世から近代への転換を経る中で西欧諸国は、西欧の枠組みの中での比較的平和で安定した状況を確保しつつ、その他の地域を収奪するシステムを徐々に形成していくことになりました。
ところがネグリによれば、このようなウェストファリア体制は既に終わっている、という認識を提示しており、その論点は以下のようなものです。
ネグリによれば、「元来ウェストファリア体制に基づく勢力均衡や秩序維持の対象は、あくまでも欧州の範囲内であり、この枠外のアジア・アフリカにおいては欧州諸国は国際法に拘束されずに自由に侵略して良い、という暗黙の了解があった。これがいわゆる植民地と宗主国の関係の構築であり、これにより欧州諸国は搾取と収奪を基本とする植民地支配システムを完成させ、欧州における平和と秩序は維持されることとなった。(5)」ということです。

確かにこのようなダブルスタンダードな状況は、特に第二次世界大戦後のアジア・アフリカ諸国の独立までは顕著に存在していたと言えるでしょう。アジアにおいてはオスマン帝国はその中東エリアが主としてイギリスの植民地となり、インドもイギリスの植民地と化しました。また清国も領土割譲こそ香港、マカオにとどまりましたが、その経済権益を欧州列強や日本に奪われることとなりました。

ただし、植民地分割が完了し拡大する余地が無くなると、植民地の再分割に向けた帝国主義戦争が始まってしまいます。これにより欧州の国民国家同士の平和維持システムが破綻に瀕することとなりました。(6)
これも歴史に照らして観れば、第一次世界大戦などはその典型的な事例として挙げられます。この戦争は、後発国たるドイツが、英仏露の植民地獲得の先発国に挑んだ戦争という側面も濃厚でした。

4)国民国家のような主体の存在しない資本の拡大運動としての帝国

国際連合

一方資本制システム自体は、国民国家がもっている主体的頭脳のようなものを欠いていて、無限に拡大しようと動くだけでいかなる力もこれに対抗することが出来ない、ということがあります。従って、資本はただただ拡大していくが、この過程で植民地と宗主国という関係を破壊せざるを得なくなってきます。その果てには、資本がフランスやドイツと言うような国民国家にまたがる多国籍企業という形態が出てきます。そうなってくると、本来互いが均衡関係を保つ単位であった国民国家が、それをまたぐ多国籍企業のような形態の進展により乗り越えられ包摂されて、均衡関係が崩壊してしまいます。このように国民国家という枠組みが掘り崩されるとその先には、国連の機能停止や国際法の意味の喪失につながっていくような事態があり得る、ということになります。(7)

3.「国民国家」による秩序を掘り崩す新たな世界秩序を巡る動きとトランプ革命の関係性

1)ナショナリズムを基盤とするウェストファリア体制に馴染まないアメリカ帝国

アメリカ独立革命

近代の国際秩序が国民国家の枠組みの中で、成立し一定の均衡状態を維持してきたのは、間違いないところです。そのような平和と安定の基盤が国民国家の枠を超える資本の動きの中で掘り崩され、形骸化しつつあるということですが、確かに多国籍企業の動きは国境を越えており、主権国家の領域内での絶対的な支配権も国境を越えてしまえばその動きを完全に捕捉することは困難になることは間違いないところでしょう。このような状況は広い意味で「古代ローマが実現」し「神聖ローマ帝国が憧憬」して果たせなかった「世界帝国の再生」とでも呼べるのかもしれません。国民国家により形成された「近代の帝国」の典型としての「国民帝国」(「植民地帝国」)とは相違する本格的な「世界帝国」がウェストファリア体制に続く新たな世界秩序として姿を現しつつある可能性もあるのです。

ここでいう「世界帝国の再生」を理解する場合のモデルとしてアメリカの存在を検討してみましょう。アメリカは国家成立当初より従来の西欧型国民国家の実態とはかけ離れており、元来「国民国家の要件」を欠いた存在であると言えるでしょう。アメリカの国家形成の原理は、民族的な基盤に基づくナショナリズムとは言えず、あくまでも「自由と民主主義」ということになりますが、これは国民国家的な次元の理念ではありません。すなわち、「自由と民主主義」を主体的に受け入れることが出来る人間であれば、たとえそれが元はどんな人種、民族、言語の人間であっても支障なくアメリカの国民になることが可能であるという原理です。このような原理及びそれに基づく国家とは、明らかに国民国家、ナショナリズムと言った要素を否定するものであり、もともとアメリカは脱ウェストファリア的な状況を志向する原理に基づく「特殊な国家」であった、と言えるでしょう。

2)脱ナショナリズムの普遍的な原理に基づく帝国としてのアメリカ

ソ連東欧革命

合衆国大統領であったジョージ・ブッシュ・ジュニアが21世紀初頭にリトアニアや東欧各国を歴訪して熱狂的に迎えられた時に現地で、イラク戦争に反対した独仏を「古い欧州だ」と切り捨てた発言があって注目されたことがありました。これは単にブッシュ・ネオコン政権の偏った発言という要素もあったものの、本質的にはウェストファリア型の国民国家原理に基づく西欧を牽制しつつ、元来「自由と民主主義」とは対立していたものの、ウェストファリア体制とは異なる「社会主義」という「普遍的な理念」に基づいて形成されていた東欧圏を取り込もうとした戦略的な発言であり、結果的にその戦略が一定の成功を収めたもの、とも言えるかもしれません。(8)(9)

すなわち、当時のアメリカは「社会主義」という普遍的な原理で成り立っていた東欧諸国を、ソ連の崩壊を機に新たに「自由と民主主義」という普遍的な原理で取り込み、その勢力圏を拡大した、とも言いかえることが出来たかも知れません。
またこの状況は、アメリカ一国の問題と言うよりも冷戦後の現代世界を全て呑み込もうとする「グローバリゼーション」や「資本主義の発展した段階」「市場原理主義」と言った現象を包括的に捉えて、「世界帝国の再生」現象の一端と描写出来たのかも知れなかったのです。

3)トランプ大統領のアメリカファーストによるグローバリズム,市場原理主義,資本主義への攻撃

トランプ,ヒトラー
しかるに、そのような普遍的な「自由と民主主義」という理念をベースに脱ナショナリズム的な観点から国家を成立させてきたはずのアメリカにトランプ大統領が誕生したのは、アメリカの建国以来の理念を根底から揺るがす衝撃的な変化、と言える気がしています。

すなわち、トランプ大統領の成功の要因は、アメリカを「自由と民主主義」という普遍的な原理に基づく特殊国家から、ナショナリズムに基づく国民国家の枠組みに再構成することにある程度成功した、ということにあるのではないか、というのが私の現時点での見立てになります。
この際、トランプ大統領が、本来国民国家としての由来を持ちにくいはずのアメリカにとってのナショナリズムの基盤に据えたのは、かつての偉大なアメリカ、すなわち第二次世界大戦に圧勝し繁栄を極めた戦後の1950年代頃のアメリカへの郷愁=ロマンチズムであり、そこに向かってアメリカを再生しようとする「Make America Great Again」というスローガンであった、ということになりましょうか。

そして、トランプ大統領の選挙運動においては、かつてのあの時の反映しセピア色の繁栄を謳歌していた時代のアメリカへの特に白人有権者の郷愁=ロマンチズムをかきたてることに全力を挙げることで票を掘り起こし、アメリカを一気にグローバリズム,市場原理主義,資本主義を基調とする普遍主義の特殊国家から、ナショナリズムに基づくアメリカ市民を第一に考えるアメリカ国民国家へと、その歴史的な枠組みまで再構成しようとしつつあるのではないか、と考えられます。

そのように考えると、トランプ大統領の出現は、ソ連・東欧圏の崩壊による20世紀後半の革命に匹敵する、ある意味では世界史的で革命的な事象と捉えることもできるのかもしれません。

そして、まさにこれは1930年代にヒトラーが、ドイツで行った政治運動と同一線上にある、とも言えるような気がします。
まさしく、トランプ大統領の出現は、ドイツ映画「帰ってきたヒトラー」が先取りした事態の現実バージョンとも見なせそうです。

尚、アメリカファーストの帰結として一部で想定されている、アメリカ版文化大革命と中国の文化大革命の関連性については以下のリンクで詳しく分析しています。
トランプ政権を離れたバノンはヒトラーの予言実現のためアメリカ版文化大革命を扇動する!
トランプのアメリカファースト路線でヒトラーの予言したアメリカの文化大革命的混乱状況が完成する!

参考文献
(1)的場昭弘:マルクスを再読する 五月書房 2004 第一章 アントニオ・ネグリの「帝国」の概念 p14
(2)杉原董:帝国の研究 名古屋大学出版会 2003 第4章 近代国際秩序の形成と展開 p141
(3)杉原董:帝国の研究 名古屋大学出版会 2003 第4章 近代国際秩序の形成と展開 p140
(4)杉原董:帝国の研究 名古屋大学出版会 2003 第4章 近代国際秩序の形成と展開 p141
(5)的場昭弘:マルクスを再読する 五月書房 2004 第一章 アントニオ・ネグリの「帝国」の概念 p16
(6)レーニン:帝国主義論「帝国主義の世界再分割」についての記述
(7)的場昭弘:マルクスを再読する 五月書房 2004 第一章 アントニオ・ネグリの「帝国」の概念 p17
(8)加々美光行:裸の共和国 世界書院 2010 第5章 大漢民族主義は超えられるか P203
(9)加々美光行:21世紀の世界政治3中国世界 筑摩書房 1999 第14章 覇権国家の諸類型 P149