アメリカ,中国,EU,イスラムの帝国的本質と統治構造!

ご訪問ありがとうございます。このブログではトランプ時代を迎えた世界の緊迫した情勢を「帝国」をキーワードに取り上げて様々な角度から分析しつつ、アメリカがアメリカファーストに走る状況下での戦後日本の総決算を筆頭に中国、中東、欧州の戦略の在り方を検討しようと試みております。このブログを通じて世界情勢や歴史に関する問題意識や知的好奇心を共有出来れば嬉しく思います・・・それではごゆっくりお過ごしください・・・

台湾,民進党,蔡英文総統の再選と民主的で安定した統治は中国共産党一党独裁の最大の敵である!

中国共産党からの過剰とも言える反発を撥ね退けて再選を果たした台湾の民進党・蔡英文総統と大陸中国の習近平体制の緊張関係は、今後ますます目が離せないものになりそうですが、ここでは「自由で公正な」選挙により民進党から総統が選出される道筋をつけて、漢民族あるいはいわゆる中華民族全体に対して民主化のモデルケースを厳然と提供している「李登輝が推進した台湾で既に成し遂げられた民主化」の奇跡について確認していきます。

1.台湾民主化により達成された成果の確認
2.暴力的反動や政治的混乱が発生しない台湾民主化プロセスの奇跡
 1)繰り返される民主化過程での保守的な逆流現象
 2)台湾における「政治の奇跡」たる平和的民主化の実現
3.日本による「極東の奇跡」を凌駕する「台湾の奇跡」の存在
 1)「日本の奇跡」に比較して取り上げられない「台湾の奇跡」
 2)日本の民主化よりも理想的な台湾の民主化過程

1.台湾民主化により達成された成果の確認

賢人支配のエリート政治という歴史的政治的伝統を有する中華世界の一角である台湾において、その民主化によりどのようなことが達成されたのであろうか。
ここで、台湾民主化の成果を整理しておきたい。

①組織論的な意味でレーニン主義的な革命の「前衛政党」として誕生し、社会を権威主義的に上からコントロールしてきた国民党の「競争的民主政党」「包括政党」への転換。
②多くの資産と権益を党、政府、軍が掌握する国民党の「党国家体制」の変容
③国営・党営企業の民営化
④「国家コーポラティズム」的な労働団体の改組と社会運動の担い手としての政治参加実現
⑤党、国家に独占されているTV・メディアの民間への開放(1)

これらの成果のうち、③と⑤の一部については改革開放により、大陸側でも一定の進展が図られたと観られるが、特に①②については台湾民主化の顕著な成果であろう。まさに一党独裁を否定し、賢人政治の伝統とも決別するような選択であり、西欧型の民主主義社会に向けた動きを少なくとも制度的には達成して来ていると言えよう。

2.暴力的反動や政治的混乱が発生しない台湾民主化プロセスの奇跡

1)繰り返される民主化過程での保守的な逆流現象

  
一連の権威主義体制の民主主義体制の移行のプロセスにおいては、ラテン・アメリカや東南アジアの軍事政変、1989年の天安門事件、1991年の旧ソ連での保守派のクーデーターのような保守的な逆流が発生しがちである。そのような過程では、多くの暴力行為や政治的混乱を伴うのが常態と言ってもいいだろう。

2)台湾における「政治の奇跡」たる平和的民主化の実現

しかるに台湾における民主化においては、多くの発展途上国に観られる政治参加の拡大から階級間対立、軍事クーデター、政治参加への抑圧へとの逆流を伴わない「平和的民主化」が実現した。これは世界史的に観ても極めて稀なる「例外的事象」であり、台湾にとっては「経済の奇跡」に続く「政治の奇跡」の実現に他ならない。(2)

3.日本による「極東の奇跡」を凌駕する「台湾の奇跡」の存在

1)「日本の奇跡」に比較して取り上げられない「台湾の奇跡」

確かに、これは奇跡としか表現出来ない例外的な事象と言えるだろう。ただし、この「奇跡」はいまひとつ「世界的な神話」として特に西側先進国の間で語り草になっているとは言えない印象である。
恐らく世界で喧伝される「極東の奇跡」としては、日本の「明治維新」「日露戦争の勝利」「焼け跡からの戦後復興」「経済の高度成長」の方が遥かに有名なのではなかろうか。このことは台湾の関係する直接当事者が「中華人民共和国」という巨大で、西側民主主義諸国も重大な経済的な利害関係を有する「帝国」的国家に関わる問題として、「台湾」での「経済の奇跡」に続く「民主主義の途方もない奇跡的な成果」を額面通りに取り上げたり、強調したりしにくい、ということが間違いなく障害になっているようだ・・・

2)日本の民主化よりも理想的な台湾の民主化過程

またこの台湾民主化の過程は、我が国の民主化の過程と比較してみると、その例外的奇跡の有りようが一層際立つかもしれない。すなわち日本の民主化は、太平洋戦争に敗北後の連合国の占領下に、GHQの絶対的影響力のもとで、あくまでも日本国憲法を皮切りにして上から与えられたものであったが、台湾民主化の過程は特に諸外国にコントロールされることもなく、流血の混乱もなく、李登輝総統を中心とする台湾自らの代表者のリーダーシップのもとに達成された、ということであり、民主化の過程として教科書的な見本となるものであった。

そして、そのような台湾で確立された民主主義の精華は、中国政府が圧力を強める香港の民主主義的な運動にも影響を与え、さらには中国の影響力拡大におびえる東南アジア諸国にも前向きな希望を与えていく可能性があるだろう。

尚、本稿とも関連する台湾民主化の中国共産党への脅威に関しては、以下のリンクにて詳しく取り扱っています。
台湾の民主主義体制は、中国共産党一党独裁体制にとり北朝鮮金正恩体制より危険である!
 
参考文献
(1)井尻秀憲:台湾経験と冷戦後のアジア 勁草書房 1993 序章 世界史の中の「台湾体験」 p4
(2)井尻秀憲:台湾経験と冷戦後のアジア 勁草書房 1993 序章 世界史の中の「台湾体験」 p5

-台湾民主化の衝撃!
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