帝国支配の本質とその統治構造!

トランプ時代を迎えた世界の緊迫した情勢を帝国をキーワードに把握し、世界及び日本の在り方を包括的に検討し、アメリカがアメリカファーストに走る状況下での日本、中国、中東、欧州の対応を構想する。 

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台湾の民進党,蔡英文総統の民主的な統治の成功は中国共産党の恐怖政治の必然性を否定する!

      2018/09/12

蔡英文総統

中華世界における全般的な民主化のモデルにもなりうる「台湾の民主化」の奇跡について取り上げる。
中国共産党からの過剰とも言える反発を撥ね退けて当選し、遂に台湾の総統に就任した民進党の蔡英文体制と習近平体制の緊張関係は、今後ますます目が離せないものになりそうであるが、「自由で公正な」選挙により民進党から総統が選出される可能性を開いたのは、かつて李登輝の推進した台湾民主化であった。

1.台湾民主化により達成された成果の確認
2.暴力的反動や政治的混乱が発生しない台湾民主化プロセスの奇跡
 1)繰り返される民主化過程での保守的な逆流現象
 2)台湾における「政治の奇跡」たる平和的民主化の実現
3.日本による「極東の奇跡」を凌駕する「台湾の奇跡」の存在
 1)「日本の奇跡」に比較して取り上げられない「台湾の奇跡」
 2)日本の民主化よりも理想的な台湾の民主化過程

1.台湾民主化により達成された成果の確認

国民党,民進党

賢人支配のエリート政治という歴史的政治的伝統を有する中華世界の一角である台湾において、その民主化によりどのようなことが達成されたのであろうか。
ここで、台湾民主化の成果を整理しておきたい。

①組織論的な意味でレーニン主義的な革命の「前衛政党」として誕生し、社会を権威主義的に上からコントロールしてきた国民党の「競争的民主政党」「包括政党」への転換。
②多くの資産と権益を党、政府、軍が掌握する国民党の「党国家体制」の変容
③国営・党営企業の民営化
④「国家コーポラティズム」的な労働団体の改組と社会運動の担い手としての政治参加実現
⑤党、国家に独占されているTV・メディアの民間への開放(1)

これらの成果のうち、③と⑤の一部については改革開放により、大陸側でも一定の進展が図られたと観られるが、特に①②については台湾民主化の顕著な成果であろう。まさに一党独裁を否定し、賢人政治の伝統とも決別するような選択であり、西欧型の民主主義社会に向けた動きを少なくとも制度的には達成して来ていると言えよう。

2.暴力的反動や政治的混乱が発生しない台湾民主化プロセスの奇跡

エリツィン

1)繰り返される民主化過程での保守的な逆流現象

  
一連の権威主義体制の民主主義体制の移行のプロセスにおいては、ラテン・アメリカや東南アジアの軍事政変、1989年の天安門事件、1991年の旧ソ連での保守派のクーデーターのような保守的な逆流が発生しがちである。そのような過程では、多くの暴力行為や政治的混乱を伴うのが常態と言ってもいいだろう。

2)台湾における「政治の奇跡」たる平和的民主化の実現

祭英文

しかるに台湾における民主化においては、多くの発展途上国に観られる政治参加の拡大から階級間対立、軍事クーデター、政治参加への抑圧へとの逆流を伴わない「平和的民主化」が実現した。これは世界史的に観ても極めて稀なる「例外的事象」であり、台湾にとっては「経済の奇跡」に続く「政治の奇跡」の実現に他ならない。(2)

3.日本による「極東の奇跡」を凌駕する「台湾の奇跡」の存在

1)「日本の奇跡」に比較して取り上げられない「台湾の奇跡」

東海道新幹線開業

確かに、これは奇跡としか表現出来ない例外的な事象と言えるだろう。ただし、この「奇跡」はいまひとつ「世界的な神話」として語りつ くされているとは言えない印象である。恐らく「極東の奇跡」としては、日本の「明治維新」「日露戦争の勝利」「焼け跡からの戦後復興」「経済の高度成長」の方が遥かに世界では有名なのではなかろうか。このことは台湾の関係する直接当事者が「中華人民共和国」という巨大で、西側民主主義諸国も重大な経済的な利害関係を有する「帝国」的国家に関わる問題として、「台湾」での「経済の奇跡」に続く「民主主義の途方もない奇跡的な成果」を額面通りに取り上げたり、強調したりしにくい、ということはあるのではないだろうか。

2)日本の民主化よりも理想的な台湾の民主化過程

GHQ
またこの台湾民主化の過程は、我が国の民主化の過程と比較してみると、その例外的奇跡の有りようが一層際立つかもしれない。すなわち日本の民主化は、太平洋戦争に敗北後の連合国の占領下に、GHQの絶対的影響力のもとで、あくまでも日本国憲法を筆頭に上から与えられたものであったが、台湾民主化の過程は特に諸外国にコントロールされることもなく、流血の混乱もなく、李登輝総統を中心とする台湾自らの代表者のリーダーシップのもとに達成された、ということであり、民主化の過程として教科書的な見本となるものであった。

尚、本稿とも関連する台湾民主化の中国共産党への脅威に関しては、以下のリンクにて詳しく取り扱っています。
台湾の民主主義体制は、中国共産党一党独裁体制にとり北朝鮮金正恩体制より危険である!
 
参考文献
(1)井尻秀憲:台湾経験と冷戦後のアジア 勁草書房 1993 序章 世界史の中の「台湾体験」 p4
(2)井尻秀憲:台湾経験と冷戦後のアジア 勁草書房 1993 序章 世界史の中の「台湾体験」 p5

十全老人

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