⭕️「戦後体制脱却」を目指す方針は三島由紀夫精神に連動すべきか?

2023年7月6日

2022年7月の参議院選挙では二つの重大な政治的な変化の予兆が明確になりました。
一つ目は言うまでもなく安倍晋三元首相の暗殺事件ですが、その衝撃が大きく若干インパクトが拡散したところもあったかもしれませんが、もう一つの注目点は参政党の出現でしょうか。

そもそも、安倍政権が史上最長不倒の長期政権を達成したのは、その政治的見識やサイレントマジョリティの支持もあったんでしょうが、やはり受け皿となる野党が四分五裂して自壊したというのが大きかったことは間違いないところでしょう。

ここ何年かでも、いくつかの政治的ブームとでもいうべきものがあり、そのうちの一つは民主党の崩壊と立憲民主党=枝野幸男氏の国政における存在感の拡大というのもありました。
枝野幸男氏は、かつての民主党政権時代に官房長官など政権中枢を歴任し、民主党・民進党崩壊の流れの中で、野党の核としての立憲民主党への再結集にある程度成功したところもありましたが、小沢一郎氏への傾斜や党利党略を優先する姿勢、強権体質、国民目線からの乖離などミニミニ権力者症候群にかかったかのような症状を経て、大方の支持を喪失していったのではないか、と考えられます。

恐らく、次の野党側の主軸は当然維新の会でもなく、与党化傾向の著しい国民民主党=玉木雄一郎氏でもなく、参政党になりそうな予感さえする今回の参議院選挙の結果でしたが、現時点ではかつでの立憲民主党=枝野幸男氏の勢いまで行っていないかも知れませんが・・・

まあまあ、参政党関連のYoutubeを観た範囲では、私の主張とも重なるところが多々見受けられるので今後に期待しつつ見守りたいと思っています。

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対米従属の自民党政権は「戦後体質」から三島由紀夫精神に回帰せよ、と言うわけで、戦後敗戦処理政権として発足した自民党政権も、そろそろ長過ぎる占領の残滓を一掃して真の独立を断行すべきでしょう。

安倍晋三首相は「働き方改革」「高等教育無償化」「子育て支援の充実」「経済状況の好転?!」「完全雇用に向けた前向きな施策の推進」など、間違いなく一定の成果を上げつつあることは認めざるを得ないと考えていますし、それらの成果を踏まえてサイレントマジョリティーの大半の票を確保して、史上最長の9年間の任期満了に向けて邁進していることは、当に偉業といってよいでしょう・・・
太平洋戦争後、石油ショックやバブル崩壊を経て、このような安定政権が出現したのは戦争直後の吉田茂内閣を除けば、戦後の高度成長を担い今から思えば牧歌的な繁栄を謳歌した佐藤栄作政権以来の快挙とも言えましょうか・・・
中曽根康弘氏の戦後政治の総決算としての精華も輝かしいもので、今日の一定の日本の繁栄の前提を為す国鉄改革や電電公社の民営化など、英米とは違う意味での「新自由主義」を実現した手腕は見事であったことは忘れることは出来ませんが・・・
さて、それらを踏まえても現在の自民党政権は、基本線として占領期の尾骶骨を引きずってしまっており、日本は独自の戦略を展開出来ないようなアメリカの51番目の州であるかのような、ある意味では悲惨、ある意味では帝国支配下での安寧に陥っている印象は否めません。
一枚岩を誇っていたはずのトランプ大統領からも、安倍首相はいつも会ったときにニコニコしているが、あれはアメリカを何年間も出し抜いてきたことを確認する優越感に浸っているのだ、と皮肉られる始末で、挙げ句の果ては中国と同列に敵対的関税の除外対象から外され当にはしごを外さつつあるようですが、近いうちに対米黒字第三位の日本も中国やドイツと同様にトランプ政権の保護貿易主義の標的として狙われることを覚悟すべき段階に差し掛かりつつあるようです。
なりふり構わぬ対米従属・朝貢外交の果てがこれでは安倍首相や自民党の対米従属路線も浮かばれない状況ではあります・・・
ここらで自衛隊蜂起を呼び掛けた三島由紀夫先生の遺志も想起しながら、日本が本当に歩むべき「伝統も踏まえて独自の戦略も活かしながら、かつ平和と繁栄も謳歌出来る」ような行き方を静かに、しかし着実に考えるべき岐路に差し掛かっているのではないでしょうか?!

合衆国大統領選挙中のトランプ氏の対日強硬発言リスト

トランプ大統領は、大統領選挙中には日本を標的?にするような以下をはじめとする数々の批判的あるいは挑発的な発言を繰り返してきました。
「アメリカには、もはや世界の警察官をやっている余裕はない。実際のところ核兵器は世界に拡散しているのだが、北朝鮮も開発済と考えるべきだろう。アメリカが世界の警察官をやめたときに、日本は北朝鮮から自分を守る方法はあるのか?そう考えてみれば、日本が核兵器を持つのも理にかなっているのではないか?それがアメリカにとってそんなに悪いことなのか?」(2016年3月ニューヨーク・タイムズ)
「日本からは、アメリカにトヨタやホンダなどの何百万台ものクルマを送り出してくるが、日本はアメリカから全くクルマを受け取ろうとしない。同じように日本はアメリカの牛肉も受け取らなくなってしまった。これはアメリカにとっては、とんでもない貿易のアンバランスだ。そんな状態でもアメリカは引き続き日本の安全を守っているが、そのうち日本防衛を打ち切ることも考えるべきではないか?アメリカ軍は日本を守っているのだから、日本は在日米軍の駐留経費を100%払うのが当然だ」(2016年5月ワシントン演説)
「アメリカは、日本と日米安保条約を結んでいるが、それによると、もし日本がどこかから攻撃されれば、アメリカは第三次世界大戦に巻き込まれるのを覚悟してアメリカ軍が反撃しなければならない。ところが、日本はアメリカが攻撃されても、居間でくつろぎながら、のんびりと日本製のテレビを観ているばかりだ」(2016年8月アイオワ州演説)
これらの発言は、これまでの主流の合衆国大統領候補からは絶対に聞くことのできない発言だとは思われますが、一般のアメリカ人の声を代弁しているようでもあり、まあ普通のテーブルトークとしては満更あり得ない発言でもないでしょうか。
さらに大統領就任後も日本が中国と同様に為替を操作して不当に円安に誘導して、日本製品の売り込みを図っているというような発言もありました(2017年1月アメリカ製薬業界との会合)

トランプ大統領の安倍首相、自民党政権の外交能力、及び日本の抜け目なさへの評価

とはいえトランプ大統領は、安倍首相や自民党政権の外交能力や抜け目なさを警戒し、ある意味では評価するような以下のような発言も繰り出してきました。
「安倍首相は、私もこれまでに一度会ったことがあるが、確かに非常に賢い人物だと思う。そういう賢い連中と対峙し、交渉し、利益を持ち帰らなければならない駐日大使のポジションは極めて重要なことは言うまでもないだろう。駐日大使のポジションには、マフィアの殺しのプロのような賢い人物が相応しいが、ケネディ大使では日本に利益を全て持っていかれるばかりだ。そういう意味で、アメリカは本来駐日大使にすべき人物を使ったことは一度もない」(2016年8月アラバマ州モービル演説)

さらに多少古くなりますが、以下のようなコメントもありました。
「日本では一番優れた研究者に民生品である自動車やTVビデオ関連機器を作らせ、アメリカでは最も優れた研究者に兵器を作らせて日本を防衛している。にもかかわらずアメリカはなぜ日本のために支払ったミサイル関係の研究費用の補償がないのだろう? また日本はアメリカを何重にも食い物にしていないか?日本人はまずアメリカ人にモノを売って資本を稼ぎ、そのカネを使って不動産に投資しマンハッタンを全て買ってしまおうとする。どっちに転んでもアメリカは負けるだろう」(1990年プレイボーイ誌インタビュー)

こうしてみるとトランプ大統領にとっては、日本は煮ても焼いても食えない容易ならざる油断出来ない交渉相手だ、と受け止められていたようです。

イギリス、カナダの両国首相の訪米を大幅に上回る安倍日本首相への熱烈歓迎ぶり

翻って今回の安倍首相の訪米に対するトランプ大統領の異様とも言える熱烈歓迎ぶりは、事前の予想を裏切る驚くべきものであった、と言えるのではないでしょうか。
安倍首相の訪米と前後して行われたイギリスのメイ首相及びカナダのトルドー首相の訪米及びトランプ大統領との会談は、あくまでも事務的なものであったと言えるでしょう。少なくとも両首相ともにホワイトハウスでの首脳会談と記者会見は行われたものの、その後フロリダの別荘に移動して終日?ゴルフ三昧で過したのちに、盛大な晩餐会を開催するというような熱烈な歓待を受けた、とは言えないのではないでしょうか。
まるで王侯貴族を遇するようなもてなしには、かつての敵対的ともいえるような対日発言の数々が、突然に夢幻と化したような印象すら覚えたのは私だけではないでしょう。
日本は、確かに世界第三位の経済大国ではあり、アメリカの有力な同盟国ではありますが、それだけではイギリスやカナダの首相とのもてなしレベルの落差?を説明することは難しいと思われます。
ともかくトランプ大統領としては、自らの信念と選挙公約に基づく政策の遂行に一切異議を差し挟んでこない、有力で独立した同盟国の指導者に対して、最大限の熱烈歓迎の意志表示を行い、国際的な孤立や国内世論の反発に対して一矢を報いようと言う意向もあったのかもしれません。

安倍首相の対米従属,朝貢外交と東アジアの冊封体制の根本的相違

あるいは、国務省あるいはその周辺の日本関連の専門家筋(いわゆるジャパンハンドラー)から、「日本はアメリカの一部のようなものですから、彼らとのディール=取引をあまり強硬に進めるのは得策ではないですよ。対日交渉では企業同士の取引(ディール)で多少損をしても、日本国政府を揺さぶって政策面から、まさに朝貢のような格好で莫大な利益を得た方が賢いですよ」というようなブリーフィングを受けたとも考えられるでしょうか。
このことを裏書きするように今回の日米首脳会談では、上記の延長線上とも言うべき「日米成長雇用イニシアチブ」なるものが日本側から提示され、日本とアメリカがインフラ投資において連携して、アメリカで約七十万人の雇用と約五十兆円(4500億ドル)規模の市場を生み出すことを目指しているようです。この中身としては、「米国内での世界最先端のインフラ実現」「世界のインフラ需要の開拓」「ロボット・人工知能(AI)の共同研究」「サイバー・宇宙における共同対処」「雇用と防衛のための対外経済政策連携」-の五本柱と言われています。
これだけの貢ぎものを持ち込んだ朝貢使節団に対しては、流石にトランプ大統領も日頃の強硬な主張をすぐさま引っ込め、自分の巨大なる交渉力に酔いしれていた、ということになりましょうか。

同じ第二次世界大戦の敗戦国ながら、ドイツのメルケル首相は、トランプ大統領からプーチン氏と同列に論じられ、「両者を最初は信頼するところからはじめるが、当面は様子見だ。その後はどうなるかわからない。信頼がいつまで続くかはまだわからない」、と言うように真剣に警戒されています。メルケル首相が、かのアドルフ・ヒトラーが武力で成し遂げられなかった欧州征服をいつの間にやら成立させた強力な指導者であり、プーチン並みの危険な欧州支配者扱いされている?状況とあたふたと貢ぎ物付きで訪米した、朝貢使節団団長のような安倍首相の落差には、国威発揚という視点を外して考えても非常に残念な思いを禁じ得ません。

ちなみに、かつて中華帝国周辺で行われていた朝貢では、朝貢を受ける中華帝国側は貢ぎ物の何倍あるいは何十倍もの宝物を朝貢国に下賜したと言われていますが、今回の安倍首相が受け取ったのは「尖閣諸島への日米安全保障条約第五条の適用の明言」くらいで、他には「日銀の異次元レベルの金融緩和の副作用?としての結果的に円安誘導的な為替操作問題や安価な生産コストのメキシコ工場からアメリカ市場への洪水のような輸出の問題」があえて取り上げられなかった、ことくらいでしょうか。
これでは、日米の関係は朝貢する側に莫大な利益があったかつての東アジアの冊封体制とは、似ても似つかないながら貢ぎ物を持っていくところだけは酷似している状況であり、本来は到底長続きしないような代物である気もする今日この頃です。

本件に関連する日本の対米従属、朝貢外交の淵源を黒船来航と太平洋戦争惨敗の見地からの分析もご参照ください。

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